日本医薬品添加剤協会 |
和名 尿素 英文名 Urea CAS 57-13-6 (link to ChemIDplus), (link to JAN DB), (link to JANe DB) 別名 収載公定書 局方(JP17), 外原規(2006) USP/NF(28/23) EP(5.4) 用途 安定(化)剤,湿潤剤,湿潤調整剤,粘稠剤,溶解補助剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) 現在の使用を認める。 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) マウス C57B1/6マウス雌雄に尿素を4.5%(約6750 mg/kg/日),0.90%(約1350 mg/kg/日),0.45%(約674 mg/kg/日) 飼料に混入して1年間与えた。対照群は雌雄各100例を用いた。尿素は融点による確認を行った。生化学的検査と血液学的検査は本試験では実施しなかった。体重の抑制はいずれの群の雌雄でも認められなかった。いずれの群の生存例で徴候の変化はみられなかった。雌では,中間用量群で悪性リンパ腫の発現頻度が有意に増加した。悪性リンパ腫の頻度は対照群10/92,低用量群7/43,中間用量群10/38(p=0.008),高用量群9/50であった。中間用量群での悪性リンパ腫の頻度増加は用量相関性がないことから,生物学的な意義には疑義がみられた。尿素は本試験ではがん原性は認められなかった。1) (Fleischman, 1980) ラット Fischer 344ラット雌雄1群50例に尿素を4.5%(約2250 mg/kg/日),0.90%(約450 mg/kg/日),0.45%(約225 mg/kg/日) 飼料に混入して1年間与えた。尿素は融点による確認を行った。生化学的検査と血液学的検査は本試験では実施しなかった。屠殺時体重の抑制はいずれの群の雌雄でも認められなかった。中間用量群雄ラットでは,対照群(95%)と比較して生存率の減少(89%)がみられた。他の投与群の生存率には差がみられなかった。投与群雄では,精巣間細胞腺腫が用量相関 (p=0.08)して直線性に増加がみられ,高用量群では高い頻度(p=0.004)を示した。間細胞腺腫の頻度は,対照群で21/50,低用量群で27/48,中間用量群で25/48,高用量群で35/50であった。間細胞腺腫は対照群でも全例(100%)に起こる可能性があることから,ラット雄における間細胞線維腫の統計学的に有意な増加をしても,生物学的な意義については明らかではなかった。1) (Fleischman, 1980) イヌ 腎臓の片側を削除したイヌ12例に10%尿素液3000-4000 mg/kgを皮下に8時間毎に45日間投与した結果,血清尿素濃度が投与後600-700 mg/mLとなった。軽度な傾眠,利尿の増加を除き,尿素は重篤な毒性徴候は惹起させなかった。1) (Balestri, 1971) 反芻動物 投与量を漸増して1762mg/kg/日まで70日間実施した結果,不快感を与えることはなかった。1) (Dinning, 1948) 尿素に耐性のないヒツジ,ウシでは,尿素それぞれ166 mg/kg/日,232 mg/kg/日で突然死を起こした。1) (Satapathy, 1963) 尿素への耐性は,空腹,低タンパク飼料の場合には減少した。1) (Blood, 1963) 若齢ウシに尿素を4.3%(約1290mg/kg)飼料に混入して12ヵ月間与えた。利尿の亢進が試験期間中認められた。組織学的には,腎臓の硝子滴変性,尿細管円柱,肝臓壊死部数個がみられた。1) (Hart, 1939) ■遺伝毒性 (link to CCRIS), (link to GENE-TOX)
■がん原性 反復投与毒性マウスを参照 ■生殖発生毒性 (link to DART) ■局所刺激性 ■その他の毒性 ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) 誤用 尿素肥料を食塩として誤飲して80名の患者が入院をした。認められた症状は悪心,継続的で強い嘔吐,興奮,重度な一般的な痙攣であった。患者全例が完全に回復するには数日を要した。1)(Steyn, 1961) その他 健康な被検者4名に尿素15 gを経口投与(約250 mg/kg)した結果,投与後15-60分以内で血中尿素が投与前値と比較して30 mg/100mL上昇して平均42 (40-46)mg/100mLとなった。血中尿素の上昇は投与後3時間で元の状態に復した。腎疾患患者15名に同様に尿素15 gを経口投与した結果,血中尿素が投与前値と比較して平均50(26-220) mg/100mL上昇して平均75 (38-299)mg/100mLとなった。血中尿素の上昇が投与前の状態に復するには4時間以上を要した。1) (Archer, 1925) 健康な被検者6名に尿素血症を惹起させるために尿素2000-3000 mg/kgを1時間ごとに24時間経口投与した結果,血清尿素窒素は60-120 mg/100mLを示した。なお,測定は血中(血清)尿素を求めて,血中尿素窒素量に換算した。換算率は2.14とした。1) (Eknoyan, 1969) 被検者の尿素窒素が45 mg/100mL(血中尿素;約96 mg/100mL)以下の場合には,毒性徴候は認められなかった。食思不振,悪心,嘔吐は約80 mg/100mL(血中尿素;約150 mg/100mL)でみられた。1) (Crawford, 1925) 腎障害患者に60-90日間尿素を300-600 mg/100mL負荷した場合,倦怠感,嘔吐,衰弱,傾眠,出血がみられた。血中尿素の濃度が300 mg/100mL以下の場合にはこれらの患者では耐性は良好であった。1) (Hohnson, 1972) 健康な被検者6名に血清尿素窒素濃度を60-120mg/100mL(血中尿素;約128-257mg/100mL)に24時間以上維持した。出血時間の遅延,血小板粘着性の顕著な現象が6名中5名に認められた。1) (Eknoyan, 1969) ヒト血小板のin vitroにおける酸素取込が尿素濃度500,300,100 mg/100mLでそれぞれ19%,14%,7%減少した。1) (Schneider, 1967) 妊娠中毒症の小児の低体重と血漿中尿素との関連を調べた。低体重の小児16名の血漿中尿素平均値は,正常な体重の小児90名の平均値(18.6 mg/100mL)と比べて統計学的に有意な上昇(23.2 mg/100mL:p<0.02)がみられた。1) (McKay, 1964) 成人に尿素1日量60 g(約1000mg/kg/日)を分割して3日と1/4以上与えた結果,糖のクリアランス時間の遅延が認められた。1) (Perkoff, 1958) 尿素を水に溶解した場合の刺激性について,乱切した皮膚で調べた結果,連日適用3 日目に7.5%尿素液では軽度,30%尿素液では顕著な皮膚刺激性を示した。1) (Frosch, 1977 ) 尿素30%液300 mLの羊水内投与を行い,治療として流産に応用した。1) (Anteby, 1973) ■参考文献 OECD database (link to SIDS) 1) WHO Food Additive Series No.32 Urea. (link to WHO DB) 2) Shimizu H, Suzuki Y, Takemura N, Goto S, Matsushita H Results of microbial mutation test for forty-three industrial chemicals. Sangyo Igaku 1985; 27: 400-419
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