日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 デスオキシコール酸ナトリウム
英文名 Sodium Desoxycholate

CAS 302-95-4 (link to ChemIDplus)
別名 3,12-dihydroxycholanic acid; 3α, 12α-dihydroxy-5β-cholan-24-oic-acid, Deoxycholate Sodium
収載公定書  薬添規(JPE2018)
用途 溶解補助剤


JECFAの評価
経口投与においては強い苦味のため、使用量に制限あり。通常の胆汁分泌の5%の変動は胆汁酸塩75mg(1.25mg/kg/day)に相当する。この量は正常な胆汁酸代謝に影響を与えない。1日当たりの許容摂取量(ADI )は0-1.25mg/kg


単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
ラット 静注 15mg/kg Gillert, 1926 1)

経口投与での毒性は低い。高用量(用量不明)でサポニンと同じ効果:粘膜刺激、溶血、心臓にジギタリス様効果、中枢神経作用を発生する可能性あり。閉塞性黄疸がみられることもある 。1) (van Itallie et al ., 1961)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
報告なし。健康ヒトでも約1gかそれ以上の胆汁酸塩を生涯循環しているので、実験の必要なしとされる。自然の胆汁酸塩の近い構成の物質であることを確かめる適切なspecificationが必要。2)


遺伝毒性
Aspergillus Nidulansの異型接合子8種類を、デスオキシコール酸ナトリウム(0, 32, 64, 96, 128, 160 mg/100ml)を加えた培地で培養したところ、 96 mg/100mlから対照と比較して有意に染色体異数が発生した。4)(Assinder SJ et al. 1982)

B. Subtilis H17 (Wild type, Rec+) とM45(Rec -)を培養し、0.1, 1, 10mg/discの濃度でデスオキシコール酸を加えたろ紙円盤を置くRec assayを行った。デスオキシコール酸は細菌に対する毒性を示したが、Rec+とRec−がほぼ同じ結果を示したことから変異原性を持たないと考えられた。 5) (Yamada et al., 1993)


がん原性 (link to CCRIS)
ラット
雌ラットにプロモーターとしてデスオキシコール酸ナトリウムと、癌原性物質としてN-metyl-N’-nitro-N-Nitrosoguanidineを経直腸投与した結果、直腸に腫瘍が発生した。3) (Reddy et al., 1976)

雄のWisterラットにプロモーターとしてデスオキシコール酸ナトリウムを0.2%飼料に混入して28週間、癌原性物質としてN-metyl-N-amylnitrosamineを0.003%飲水に混入して最初の8週間投与し、残り20週は水道水を与えた結果、食道にcarcinomaおよびpapillomaが発生した3) (Ohta et.al.1976)

雄のWisterラットに最初の8週は通常の飼料を、続く20週はプロモーターとしてデスオキシコール酸ナトリウムを0.2%飼料に混入して投与した。同時に癌原性物質としてN-metyl-N-amylnitrosamineを0.003%飲水に混入して最初の8週間投与し、残り20週は水道水を与えた結果、食道にpapillomaが発生した3) (Ohta et al., 1976)

雄のWisterラットに最初の8週にプロモーターとしてデスオキシコール酸ナトリウムを0.2%飼料に混入して投与しは続く20週は通常の飼料を与えた。同時に癌原性物質としてN-metyl-N-amylnitrosamineを0.003%飲水に混入して最初の8週間投与し、残り20週は水道水を与えた結果、食道にpapillomaが発生した3) (Ohta et al., 1976)


生殖発生毒性 (link to DART)
胎齢 10.5日のラット胎仔を0.5mMデスオキシコール酸ナトリウム存在下で48時間培養したところ、器官形成異常(主に大脳半球や心臓)や発達遅延がみられた。0.1mMではこれらの変化はみられなかった。また、5μgまたは5mMのデスオキシコール酸ナトリウムを胎齢10.5日のラット胎児に経羊膜投与したところ、胎仔の再吸収、形成異常が増加し、死産が増加した。出生した胎仔の体重は正常に比べて減少し、肝臓に瀰漫性に出血が見られた。6) (Zimber et al., 1988)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見
250−750mg、1日3回ヒトに経口投与。胆管閉塞と重篤な肝炎を考慮すべきである。1) (Martindale, 1972)
胆汁酸塩分泌障害の5歳児に11ヶ月、一日あたり2g経口投与を継続した結果、脂肪の吸収は改善され、患者の状態を悪化させる作用は出なかった。1) (Ross et al., 1955)
400mg経口TIDで6人患者に投与したところ、6人中4人に食欲の減少がみられた。1) (Bray,et.al 1968)


引用文献
1) WHO Food Additive Series No.292 Cholic and desoxycholic acid and their salts (link to WHO DB)
2) WHO Food Additive Series No.047 Cholic acid, desoxy-(and Na salt)  (link to FAO DB)
3) Toxnet-Chemical carcinogenesis-Deoxycholic acid sodium salt
4) Assinder SJ, Ypshall A. Mitotic aneuploidy induced by sodium deoxycholate in Aspergillus nidulans. Mutat. Res. 1982; 93: 101-8
5) Yamada K , Lim BO, Nonaka M, Sugano M.. Measurements of mutagenic and antimutagenic activities of bile acids by Rec-assay. Biosci Biotechnol Biochem 1993; 57: 599-602
6) Zimber A, Yadin S, Zusman I. The effects of secondary bile acid on rat embryos in vitro and in vivo. Telatology 1988; 38: 31A


   

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