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和名 酢酸亜鉛水和物 英文名 Zinc Acetate Hydrate CAS 5970-45-6 (link to ChemIDplus) 別名 酢酸亜鉛2水塩 収載公定書 薬添規(JPE2018),USP/NF(28/23)EP(5)(Zinc acetate dihydrate) 用途 安定(化)剤 ■JECFAの評価 酢酸亜鉛単独としての評価はない。元素としての亜鉛の栄養学的必要量と毒性量の間には大きな開きがある。硫酸亜鉛を1日量600mg(亜鉛として200mgに相当)までを1日2,3回に分割して数ヶ月間投与した臨床研究の結果に基づいて、亜鉛としてのヒトでの最大摂取耐用量を暫定値として0.3-1.0mg/kgと設定している。4) (WHO Food Additives Series 17, 第26回会議、1982年) 以下の項目については、塩化亜鉛、酸化亜鉛及び硫酸亜鉛の項も参照されたい。なお、WHOの第26回会議の記録には、その他の亜鉛塩についての記載もあるので併せて参照されたい。 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
1群10匹の雌雄マウス(若年マウス;3〜4週令、成熟マウス;10〜12週令)に酢酸亜鉛 を腹腔内に投与し、第1、3、5、7、14日目のLD50を算出した。5) (Hogan et al., 1987)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ラット ラットに、酸化亜鉛懸濁液及び酢酸亜鉛、クエン酸亜鉛、リンゴ酸亜鉛の水溶液を亜鉛量として1日量0.5-34.4mgを35-53週間投与した。一般状態、体重、摂餌・摂水量、尿検査、血球数、ヘモグロビン、臓器の肉眼的及び顕微鏡的観察、亜鉛摂取量、尿・糞・臓器中の亜鉛量を測定した。臨床所見、種々の検査所見に異常は見られなかった。4) (Drinker et al., 1927a) 1群10匹のラットに酢酸亜鉛2水和物を0mg・160mg・320mg・640mg/Kg 体重/日、を摂取するよう飲用水に混ぜて3ヵ月間投与した。実験終了時に尾静脈から血液を採取し、ヘマトクリット、ヘモグロビン、血漿中グルコース、GOT、GPT、ALP、尿素、クレアチニンを測定した。640mg/Kg投与群のみ尿素およびクレアチニンがコントロール群に比べ有意に高値であったが、他の検査値は正常範囲内であった。6) (Llobet et al., 1988) 1群10匹のラットに酢酸亜鉛2水和物を0mg・80mg・160mg・320mg/Kg 体重/日、を摂取するよう飲用水に混ぜて1ヵ月間投与した。ラットは、体重増加、摂食量、飲水量、血液学的検査、血漿化学的検査をモニタリングされた。結果は、いずれの群も栄養学的パラメーターに有意な影響を及ぼさなかった。また、血液、肝臓、腎臓損傷も引き起こさなかった。本試験結果は、酢酸亜鉛2水和物の毒性学的最大無作用量(no-observable-effect level; NOEL)が320mg/kg体重/日であることを示した。7)(Llobet et al., 1988) ■遺伝毒性 サルモネラ菌・マウスリンパ腫細胞 L5178Yマウスリンパ腫細胞を用いたin vitro細胞遺伝学的試験において、用量依存的に陽性反応を示し、10μg/mLで突然変異頻度が倍増した。サルモネラ/哺乳類ミクロゾームプレート取り込み試験の結果は、一貫して陰性であった。酢酸亜鉛は、50- 7200μg/プレートの用量範囲で、試験した5株において、毒性も変異原性も認められなかった。8) (Thompson et al., 1989) ヒト白血球 In vitroヒト白血球において、酢酸亜鉛(濃度:3.0×10‐5M、3.0×10‐4M、1.5×10‐3M)によって誘発した染色体損傷度を調査した。白血球細胞は48および72時間後に回収し、染色体異常を調査した。すべての濃度において染色体異常細胞数はコントロールに比較して有意に増加し、最高濃度では致死的であった。9) (Santra et al., 2000) ■がん原性 (link to CCRIS) ■生殖発生毒性 鶏卵 卵を強制通風自動回転恒温器に96時間入れた後、0.5mg、1.0mg、2.0mgの酢酸亜鉛を房室を通して卵内注射した。19日目までのインキュベーション後、胚を採取し先天奇形を検査した。また、重量および頭頂−臀部の長さを測定した。致死率は用量依存がみられた。LD50は約1.0mgであった。0.5mgおよび2.0mg投与群は、対照群に比較して有意に頭頂−臀部の長さが減少した。10) (King et al., 1979) ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 学習能力に対する作用 1群9匹のマウスに1%酢酸亜鉛溶液を飲用水として28日間与え、学習記憶力を調査した。酢酸亜鉛は記憶形成機能に影響を与えなかったが、学習の消去を促進する作用が示唆された。11) (Oliveira et al., 2001) 抗原性 6匹のマウスに20%酢酸亜鉛溶液を5日間貼付した。全数に中度の刺激が認められた。12) (Lansdown et al., 1991) 8匹のモルモットに20%酢酸亜鉛溶液を5日間貼付した。全数とも明らかな反応は認められなかった。12) (Lansdown et al., 1991) 1群4匹のウサギに20%酢酸亜鉛溶液を5日間貼付した。オープンパッチテストでは3匹にわずかな刺激が認められ、クローズドパッチテストでは全数に強い刺激が認められた。12) (Lansdown et al., 1991) ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) ■引用文献 1) Domingo JL, Llobet JM, Paternain JL, Corbella J. Acute Zinc Intoxication:Comparison of the Antidotal Efficacy of Several Chelating Agents. Veterinary and Human Toxicology. 1988; 30: 224-228 2) Jones MM, Schoenheit JE,. Weaver AD. Pretreatment and Heavy Metal LD50 Values. TOXICOL APPL PHARMACOL. 1979; 49: 41-44 3) Llobet JM, Domingo JL, Corbella J. Antidotes for zinc intoxication in mice. Archives of Toxicology. 1988; 61: 321-323 4) Zinc (WHO Food Additives Series 17), The 26th meeting of the Joint FAO/WHO Expert Committee on Food Additives (JECFA), World Health Organization, Geneva 1982 (accessed; Oct. 2005, http://www.inchem.org/documents/jecfa/jecmono/v17je33.htm) 5) Hogan GR, Cole BS, Lovelace JM. Sex and Age Mortality Responses in Zinc Acetate- Treated Mice. Bulletin of Environmental and Toxicology. 1987; 39: 156-161 6) Llobet JM, Domingo JL, Colomina MT, Mayayo E, Corbella J. Subchronic Oral Toxicity of Zinc in Rats. Bulletin of Environmental Contamination and Toxicology. 1988; 41: 36-43 7) Llobet JM, Domingo JL, Colomina MT, Paternain JL, Corbella J. Toxicidad en ratas 8) Thompson ED, McDermott JA, Zerkle TB, Skare JA, Evans BLB, Cody DB. Genotoxicity of zinc in 4 short-term mutagenicity assays. Mutation Research. 1989; 223: 267-272 9) Santra M, Talukder G, Sharma A. Comparison of Chromosome Damage Induced by Three Zinc Compounds Using Human Leukocyte Culture. Biol Trace Elem Res. 2000; 78: 113-119 10) King DW, Chen DCC, Wung AWS, Hsu JL, Lai JM, Chiang H, Lu GR. Interrelationships of Zinc, Cadmium and Lead in Chick Embryogenesis. PROC NATL SCI COUNC REPUB 11) de Oliverira FS, Viana MR, Antoniolli AR, Marchioro M. Differential effects of lead and zinc on inhibitory avoidance learning in mice. 2001; 34: 117-120 12) Lansdown ABG. Interspecies Variations In Response To Topical Application Of Selected Zinc Compounds. FOOD CHEM TOXICOL. 1991; 29: 57-64 |メニューへ| |
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