和名 ジステアリン酸ポリエチレングリコール 英文名 Polyethyleneglycol Distearate
CAS 9005-08-7 (link to
ChemIDplus)別名 ジステアリン酸ポリエチレングリコール(6000) (108627),ジステアリン酸ポリエチレングリコール(140E.O.) (109393), 収載公定書 外原規(2006) 用途 乳化剤
PEG distearateの毒性試験成績は単回投与毒性のみである。そのため、 PEG monostearateとステアリン酸の毒性を記載する。遺伝毒性とがん原性試験は PEGのみも記載した。
■単回投与毒性
動物種 |
投与経路 |
LD50又はLC50 |
文献 |
マウス |
静脈内 |
220mg/kg carbowax
1000 distearate |
Hopper, 1949
1) |
■反復投与毒性 (link to
TOXLINE) ラット ラットにPEG-8
stearateを4%、PEG-100 stearateを2%濃度に飼料に混入して、2年間投与した。その結果、3世代まで投与に起因した障害は認められなかった。Elder, 1983
2)
ラットにステアリン酸を3000 ppmの濃度で飼料に混入して30週間与えた。その結果、摂餌量の減少、重度の肺炎、死亡例の増加が認められた。Elder,
1987 2)
ハムスター ハムスターにPEG monostearate を飼料に5-15%濃度に混入して、28-39週間投与した結果、死亡例、慢性下痢、精巣萎縮、腎臓の肥大、膀胱壁の肥厚、肝臓・盲腸・脾臓のヘモジデリン沈着、盲腸膨大、腎症が認められた。Elder, 1983 2)
■遺伝毒性 PEG
試験 |
試験系 |
濃度 |
結果 |
文献 |
染色体異常(in vitro) |
チャイニーズハムスター由来細胞 |
PEG-8 1% |
陰性 |
Andersen, 1993
2) |
UDS |
肝細胞 |
PEG-8 1% |
陽性 |
Andersen, 1993
2) |
リンフォーマ forward mutation
assay |
リンフォーマ |
PEG-150 150 g/L |
陰性 |
Andersen, 1993
2) |
ステアリン酸
試験 |
試験系 |
濃度 |
結果 |
文献 |
復帰突然変異 |
サルモネラTA98,TA100, TA1535,TA1537,TA1538 |
50
μg/mL直接法、代謝活性化法 |
陰性 |
Elder,
19872) |
異数性誘発 |
|
500
μg/mL |
陰性 |
Elder,
19872) |
■がん原性 PEG-8を溶媒対照としたマウスの皮下に1年間投与した試験で、催腫瘍性は認められなかった。Andersen,
1993 2)
ステアリン酸をラットに0.3%あるいは50g/kg/day皮下投与した試験で、催腫瘍性は認められなかった。Elder, 1987 2)
■生殖発生毒性 ラットに10-20% PEG-8 stearate、PEG-40 stearateを飼料に混入して世代試験を実施した結果、母親の授乳放置により、1腹あたりの新生児生存数の低下がみられた。20%群では、F3世代で、乳汁分泌の不足による離乳児体重の低下、哺乳時期の死亡率の増加、生殖能の低下が認められた。5%濃度では成績に異常はみられなかった。Elder, 1983
2)
■局所刺激性 ウサギを用いて100 %濃度のPEG-2, -6, -8, -12, -20,
-32, -40, -150 stearateの皮膚一次刺激性試験を実施した。その結果、非刺激物(nonirritating)とみなされた。Elder, 1983 2)
ウサギを用いて市販のステアリン酸35-65%濃度の皮膚一次刺激性を調べた。その結果、浮腫、軽度・中等度な紅斑は認められなかった。Elder, 1987 2)
モルモットを用いてPEG-2
stearateの感作性を調べた。0.1%懸濁液をLandsteiner and
Jacobs法に従って、実施した結果、感作性は認められなかった。同様に、PEG-8および-40 stearateも感作性はみられなかった。Elder, 1983 2)
ステアリン酸を1.0%含有する化粧品2種のマキシミゼーション試験を実施した結果、誘発後軽度な反応がみられた。これは、軽度でグレード
1の感作性と考えられた。Elder, 1987
2)
モルモットを用いたステアリン酸を2.8%含有する化粧水の光感作性試験では、光アレルギー性は認められなかった。Elder,
1987 2)
■その他の毒性 該当文献なし
■ヒトにおける知見 PEG Stearateを含有する製品を用いて、刺激性、感作性、光毒性、光感作性を調べたが、いずれも陰性であった。Elder, 1983 2)
25% PEG-2 Stearate水性液の皮膚刺激性・感作性を調べるため、168名に反復損傷皮膚パッチテスト(RIPT)を行った結果、陰性であった。Elder, 1983
2)
上記と同様な方法で、PEG-2 Stearateの光感作性、光毒性を28名について調べた結果、いずれも陰性であった。Elder, 1983
2)
PEG-100 Stearate原液を48時間パッチで2回、被検者10名に行った結果、反応は認められなかった。また、PEG-100 Stearateを1-3%含有するスキン・コンディショナーを被検者188名で反復損傷皮膚パッチテストを実施した結果、同様に反応は認められなかった。Elder,
1983 2)
ステアリン酸を鉱物油で40%濃度に溶解して、一次・累積刺激試験を実施した結果、陰性であった。Elder, 1987 2)
■引用文献 1) Hopper SS, Hulpieu HR,
Cole VV, Some toxicological properties of surface-active agents. J. Am.
Pharm. Assoc. 1949; 38: 428-432 2) Lanigan R.S. Finale report on the safety assessment
of PEG-2, -3, -4, -6, -8, -9, -12, -20, -32, -50, -75, -120, -150, and
-175 distearate. Int. J. Toxicol. 1999; 18: 51-59
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