日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 セタノール
英文名 Cetanol

CAS 124-29-8 (link to ChemIDplus)  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
  36653-82-4(セチルアルコール) (link to ChemIDplus)
別名 Cetyl Alcohol, 1-hexadecanol, n-hexadecyl alcohol
収載公定書  局方(JP17), 外原規(2006) USP(27/22) (Cetyl alcohol)  EP(4)(Cetyl alcohol)
用途 安定(化)剤 ,界面活性剤,滑沢剤,基剤,結合剤,懸濁(化)剤,光沢化剤,コーティング剤,乳化剤,粘稠剤,賦形剤


単回投与毒性: (link to ChemIDplus)
動物種 投与経路 LD50(mg/kg体重) 文献
マウス 経口 3.2-6.4 g/kg Treon, 19631)
マウス 腹腔内 1.6-3.2 g/kg Treon, 19631)
ラット 経口 6.4-12.8 g/kg Treon, 19631)
ラット 経口 8.4 g/kg Coopersmith & Rutkowski, 19651)
ラット 経口 >8.2 g/kg Scala & Burtis, 1973 2)
ラット 腹腔内 1.6-3.2 g/kg Treon, 19631)
ウサギ 経皮 >5 g/kg Levenstein, 19761)
ウサギ 経皮 2.6 g/kg Coopersmith & Rutkowski, 19651)
ウサギ 経皮 >2.6 g/kg Scala & Burtis, 1973 2)
モルモット 経皮 <10 g/kg Treon, 19631)

ラットにセタノール0.41mg/Lの濃度で6時間吸入させた。その結果,死亡例は認められなかった。しかし,セタノール 1.2 mg/Lの濃度を6時間吸入させた例では,2日間以内に全例が死亡した。1)(treon, 1963)

マウス,ラット,モルモットにセタノール 26 ppmを6時間吸入させた。その結果,全身性の毒性徴候は認められなかった。1) (Coopersmith & Rutkowski, 1965)

1群10匹のマウス,ラット,モルモットにセタノール 26 ppmを6時間吸入させた。24時間後に屠殺した。その結果,死亡例は認められず,一般状態に毒性徴候はみられなかったが,眼,鼻,咽喉,気道粘膜に刺激性変化が認められた。2) (Scala et al., 1973)

1群10匹のラット,モルモットにセタノール 9.6 mg/Lを含む空気10分間,30分毎に8回吸入させた。半数の動物は吸入終了後に屠殺し,残りは14日間観察した。その結果,セタノールに起因した毒性徴候は認められなかった。2) (Scala et al., 1973)

ラットにセタノール 2220 mg/m3を6時間吸入させた結果,全例死亡した。2) (Wasti 1978)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
ウサギ
1群雌5匹の6ヵ月齢白色ウサギを用いて,右頸部を剃毛した10X10 cm皮膚にセタノールを30%含有するメチルアルコール,プロピレングリコール液0.5 mLを連日30日間塗布した。その結果,投与局所に肉眼的な意義ある変化は認められなかった。ただ,病理組織学的検査では,皮膚表面にリンパ単球,組織球の浸潤がみられた。2) (Rantuccio et al., 1981)

ニュージーランド白色ウサギ20匹を用いて,剃毛した直径5cmの腰背部皮膚にセタノール11.5 %含有クリームを1日5回20日間貼付した。その結果,投与局所表皮の肥厚,角化不全,角化症,乳頭状突起等がみられた。また,乳頭状突起の胚芽層では細胞及び細胞間浮腫の明らかであった。2) (Elliott, 1970)

1群24匹のニュージーランド白色ウサギを健常皮膚群,損傷皮膚群の2群に,剃毛した直径5cmの腰背部皮膚にセタノール11.5 %含有クリームを400 mg/kgで1日5回20日間貼付した。試験終了時に血液学的検査を実施して,屠殺・剖検した。その結果,血液学的検査成績,剖検には,被験物質に起因した全身性の変化は認められなかった。ただ,投与2-3日目に健常皮膚,損傷皮膚群ともに剥離性皮膚炎が認められた。2) (Novak 1969)

1群雌雄5匹のニュージーランド白色ウサギの体表8.4%に相当する背部皮膚に2.0 %セタノール保湿液 5.5,8.8 mg/cm2を連日3ヵ月間塗布した。その結果,投与に起因した変化は投与局所の炎症所見であった。その他,血液学的検査,臨床科学的検査成績は正常範囲内の値であった。2)(CTFA, 1981)


遺伝毒性
試験 試験系 濃度 結果 文献
復帰突然変異 サルモネラ菌LT2 直接法及び代謝活性化法 陰性 Blevins and Taylor, 1982 2)



がん原性
Swissマウス雌にセタノールをシクロヘキサンに20 g/100mL濃度に溶解して,20 μLを週3回60週間皮膚に塗布した。その結果,benzo[a]pyrene惹起した腫瘍を軽度に促進する作用が認められた。1) (Sice, 1966)

C3Hマウスに0.17%benzo[a]pyrene及び50%セタノールをシクロヘキサンまたはデカリン溶液50 mgを週2回投与した結果,軽度な腫瘍発生の促進作用が認められた。1) (Horton et al., 1966)


生殖発生毒性
該当文献なし


局所刺激性
モルモットではセタノールの刺激性は,「わずかな刺激性(Slightly irritating)」と判断された。1) (Treon, 1963)

ウサギにセタノール原液を健常皮膚,損傷皮膚に閉塞貼付した結果,皮膚刺激性は認められなかった。1) (Levenstein, 1976)

白色ウサギを用いて,セタノールの皮膚刺激性を調べた。ワセリンにセタノールを50 %濃度とした被験物質0.1 mLを剃毛した背部皮膚に閉塞塗布した。24時間後に除去して,直後と72時間目の刺激性を評価した。その結果,わずかな皮膚刺激性(minimal to slight irritation)が認められた。2) (CTFA, 1972)

ニュージーランド白色ウサギ雌雄6匹を用いて,3匹は剃毛した健常皮膚群,残りは損傷皮膚群にわけ,セタノール4.0 %含有クリーム0.5 mLを塗布し,1時間後に水で洗浄した。投与後7日間局所刺激と一般状態を観察した。その結果,軽度ないし明瞭な紅斑が投与後24-48時間目に全例に認められた。軽度な浮腫は投与後2-3日目に3例でみられた。試験期間中5例は刺激性変化が認められた。軽度な落屑は投与4-7日間全例にみられた。平均皮膚刺激性評点は1.4で,最大値は8であった。2) (CTFA, 1979)

1群6匹以上の白色ウサギにセタノール6.0 %含有する口紅の刺激性を健常皮膚及び損傷皮膚について調べた。その結果,塗布後の24及び48時間目に皮膚刺激性は認められなかった。2) (CTFA, 1980)

ニュージーランド白色ウサギ雌雄6匹を用いて,セタノール原液の眼粘膜刺激性をDraize法に従って調べた。その結果,平均評点は投与1日目は1,投与3日目にはゼロとなった。したがって,眼粘膜に対する刺激性は「殆ど眼粘膜刺激性はない(practically nonirritating)」とみなされた。2) (CTFA, 1972)

白色ウサギ9匹を用いて,セタノールを6.36 %含有する保湿クリームの眼粘膜刺激性をDraize法に従い調べた。点眼後,10 sec,20 sec後洗浄した群と洗浄しない群について,投与後7日間の観察期間中に,いずれの群にも眼粘膜刺激性は認められなかった。2) (Leberco Lab. Inc., 1983)


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
ヒトでセタノールをワセリンに12 %の濃度で24時間閉塞パッチを行った結果,刺激性は認められなかった。1) (Epstein, 1976)

1664名の患者にセタノールを経皮適用した結果,2名に刺激性が認められた。1) (Hjorth & Trolle-Lassen, 1963)

湿疹が認められた100名の患者にセタノールのパッチテストを行った結果,陽性反応はみられなかった。1) (Fisher et al., 1971)

化粧品に係わる多くの化学者は,一般的にセタノールはシャンプー,製剤,制汗剤の刺激性を緩和すると考えている。1) (Goldenberg, 1965)

ボランティア26名にセタノールをワセリンに12 %濃度でマキシミゼーション試験を実施した結果,感作性は認められなかった。1) (Epsetein, 1976)

28歳女性でセタノールによるじんま疹様の皮膚炎が認められた。1) (Gaul, 1969) 18-65歳20名でセタノール原液の皮膚刺激性を調べた。被験物質0.1 mLを掌に24時間あるいは48時間閉塞パッチした。パッチ除去後2及び24時間目に皮膚刺激性は認められなかった。2) (CTFA, 1972)

ヒト52名でセタノール4.0 %含有口紅の光感作性について調べた結果,陰性であった。ただ,試験方法を全て一定にすることは困難であった。2) (CTFA, 1980)

ヒト407名でセタノール1.0%含有スキンケア製剤の光感作性について調べた結果,陰性であった。ただ,試験方法を一定にすることは困難であった。2) (CTFA, 1980)


引用文献
1) Opdyke DLJ Cetyl alcohol-ragrance raw materials monographs, Food Cosmet. Toxicol. 1978; 16: 683-686
2) Johnson Jr. W Final report on the safety assessment of cetearyl alcohol, cetyl alcohol, isostearyl alcohol, myristyl alcohol, and behenyl alcohol J. Am. Coll. Toxicol. 1988; 7: 359-413

   

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