日本医薬品添加剤協会 |
和名 二酸化ケイ素 英文名 Silicon Dioxide CAS 7631-86-9 (link to ChemIDplus) 別名 シリカゲル、無水ケイ酸(100549)、二酸化シリコン(106574) 収載公定書 食添(JSFA-IX) ,EP(5) 用途 吸着剤,賦形剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) ADI(1日許容摂取量)は規定されていない。(1985年、第29回)2) 二酸化ケイ素は、1969年JECFAで評価され、ADIが設定されたが、その後1973年に再評価され、「二酸化ケイ素」及び「ケイ酸アルミニウム」、「ケイ酸カルシウム」、「アルミノケイ酸ナトリウム」のグループADIとして、"not Limited"とされた。その後1985年にケイ酸アルミニウムカルシウムが評価され、このグループADIに含められると共にADI "not specified"に変更された。 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
マウスのLD50は、>5g(微粉砕したケイ酸)であった。1)(Kimmerle, 1968) ウサギに3mgのケイ素(シリコーン)を投与した結果、48時間、結膜嚢に弱い炎症の発生が観察された。1) (Elsea, 1958a) 二酸化ケイ素の人に対する推定致死量は、経口投与の場合15g/kg bw以上である。大量投与した場合に軟便を生じるかどうかについては疑問の余地がある。1) (Anon., 1964) ■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ラット 50mgの無定形二酸化ケイ素を3ヶ月間ラットに経口投与したが、何ら異常所見は認められなかった。但し、実験の詳細は明らかにされていない。1) (Malten & Zielhuis, 1964) 1群雄ラット10匹からなる4群に、それぞれ0%、0.2%、1.0%、2.5%の割合で微粉砕したシリカゲルを28日間、混餌投与した。死亡率、肉眼による剖検結果に異常は認められなかった。2.5%投与群では有意に体重増加率の減少をきたし、1.0%投与群では有意差は認められなかったものの、体重増加減少の傾向が認められた。他の観察項目では異常が認められなかった。1) (Keller, 1958) 50mg/日の無定形二酸化ケイ素(無水SiO2 99.8%)を雌雄各15匹のラットに3ヶ月間、胃管投与した。体重増加率及び死亡率に異常は認められなかった。臓器の病理検査結果は対照群に比較し異常は認められなかった。1) (Kuschinsky, 1955) 1群雌雄各15匹のラットからなる5群に、それぞれ0%、1.0%、3.0%、5.0%のシリカ(二酸化ケイ素)を90日間混餌投与した。陽性対照群として化粧品用タルクを3%濃度含む餌を給餌した。生存期間中、体重、飼料摂取量等の二酸化ケイ素に起因すると思われる全身的な悪影響は認められなかった。 5.0%濃度の二酸化ケイ素を含有する餌を摂取した群の腎臓、肝臓、脾臓、血液及び尿には二酸化ケイ素の蓄積は認められなかった。病理検査結果は二酸化ケイ素に起因すると思われる所見は認められなかった。1) (Elsea, 1958b)。 雌雄各20匹のラットに500mg/kg/日のシリカを6ヶ月間投与した。同時に、同匹数を対照群とした。飼育4.5ヶ月後に各群から5匹を選び交配させた。その結果、死亡率、体重増加率、血液学的検査(ヘモグロビン量、赤血球数、白血球数)、繁殖結果に悪影響は認められなかった。シリカ投与群の胃、腸、すい臓、肝臓及び腎臓の組織病理学的検査結果は対照群に比べ異常は認められなかった。胎児数、出産時の胎児重量、器官の形態学的発達に異常は認められなかった。1) (Leuschner, 1963) 前記(Leuschner, 1963)と同様の実験で、無定形SiO2ポリマーの疎水性製剤(表面でsilanol groupの幾つかが、dimethyl-dichlorosilaneと反応したもので、SiO2含量が98.5%以上含有)でも同様の結果が得られた。1) (Leuschner, 1965) 前記化合物(無定形SiO2ポリマーの疎水性製剤、Leuschner, 1965)を一群雌雄各5匹からなる4群にそれぞれ、0、500、1000、2000mg/kg bwを5週間投与した。更に、最大投与群には実験開始14日後に4,000、28日後に8,000、42日後に16,000mg/kg bwに投与量をそれぞれ増加した。投与量を16gに増加した時、全ての動物で体重減少を起こし、そのうち4匹は死亡した。投与量を8,000 mg/kg bwに増量した群では、増量7日後に正常な体重増加が見られなくなった。 1,000 mg/kg bw投与群の10匹中2匹のラットに肝臓上皮組織に僅かな変化が認められた。高投与群では肝臓上皮の萎縮、好塩基性組織の退行、グリコーゲン含量の低下等が観察された。各群共、腎臓を含むその他の臓器の組織病理学的検査結果は対照群と比較し有意な変化は認められなかった。1) (Leuschner, 1964) 雌雄各15匹のラットからなる各群に、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムのいずれかのケイ素化合物を4週間投与した。同量を犬にも投与した(犬の項を参照)。ケイ酸カルシウム及びケイ酸ナトリウムを摂取した数匹に、断続的に多飲、多尿、軟便が見られたのが唯一の臨床所見であった。ケイ素化合物に起因する損傷、はいずれ群のラッとにも認められなかった。1)(Newberne & Wilson, 1970) 実験開始時の体重が70gのWisterラット雌雄各20匹に、2年間無定形二酸化ケイ素(SiO2含量 98.3%以上)含有合成飼料(ペレット)を投与した。 一日100mg/kg bw の摂取量を維持するため、ペレット中の二酸化ケイ素含有量を規則的に調整した。 2年後の生存率は100%であった。行動、臨床所見、体重増加等に異常は認められなかった。病理検査結果も対照群に比較し差がなかった。発がん性につながる証拠も得られなかった。1) (引用先不明) ウサギ 1群雌雄各2匹のウサギからなる2群に、二酸化ケイ素を5g/kg/日、10 g/kg/日を、 無添加対照群には0.5%メチルセルロース溶液を、陽性対照群には化粧品用タルクを10 g/kg/日をそれぞれ投与した。投与回数は5回/1週間の割合で3週間投与した。その結果、二酸化ケイ素に起因する体重、行動及び血液、尿、脾臓、肝臓、腎臓中のケイ素濃度等の全身的な毒性症状は認められなかった。主要臓器、皮膚の肉眼的、顕微鏡的所見にも異常は見られなかった。1) (Elsea, 1958c) イヌ 1群雌雄各6-9匹からなる生後6ヶ月のビーグル犬に、二酸化ケイ素、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸マグネシウムを二酸化ケイ素として最終的に0.8g/kg/日になるように調整した餌をそれぞれ4週間投与した。ケイ酸ナトリウム及びケイ酸マグネシウムを摂取した群の数匹に多飲、多尿症状が観察された。又、ケイ酸ナトリウム及びケイ酸マグネシウムを摂取した群では全ての犬に特徴的な腎損傷が認められたが、他のケイ酸化合物では認められなかった。1) (Newberne & Wilson, 1970) ■遺伝毒性 (link to CCRIS), (link to GENE-TOX) ■がん原性 (link to CCRIS) ■生殖発生毒性 (link to DART) ラット 無定形二酸化ケイ素を一日100mg/kg bwラットに経口投与し、2世代生殖毒性試験を行った。親世代(雄1匹、雌5匹)から子5匹ずつを選抜し、第1世代は合計25匹を用い試験を行った。半年後、第1世代の雄1匹に対し雌5匹を交配させ、第二世代21匹を選抜した。奇形その他悪影響は一切観察されなかった。1) (Mosinger, 1969) ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 該当文献なし ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) 2名のボランティアに50mgのケイ酸単量体水溶液50 cm3を単回投与しても特に問題はなかった。投与量が増加すると、尿中のケイ酸のポリマー化を防止するために、さらに水溶液を増やすか、或いは20分間隔で投与することが必要であった。1) (Baumann, 1960) ボランティアに2.5gのポリマー化した無定形二酸化ケイ素を単回投与しても、尿中のSiO2排泄量は増加しなかった。このことは同化合物が吸収されにくいことを意味する。1)(Langendorf, 1966) 通常食の場合、男性5名の一日平均SiO2排泄量は16.2mgであった。この数値は容易に変化し、食事のSiO2量により異なる。健康人でMg2Si3O8 nH2Oを経口から摂取した際、ケイ素の尿中排泄量が増加した。1) (Page et al.,1941) 胃炎或いは腸炎を患う患者に、12%濃度の無定形ケイ酸を60-100g/日、3〜4週間投与したが、何ら悪影響は認められなかった。投与した物質の千分の1が尿中に排泄された。1)(Sarre, 1953) 2名のボランティアに、50mgのケイ酸単量体を含む水溶液50 cm3を投与した後、単位時間当たりの腎臓からの排泄量と尿中排泄量を比較した結果、その関連性は認められなかった。摂取後1-2時間後に排泄量はピークになったが、高濃度でも700μg SiO2/cm3程度であった。ケイ酸はモリブデンと反応した形で存在していた。ケイ酸は100-150γSiO2/cm3以上の濃度になるとポリマー化することが知られている。ポリマー化する速度はpH及び濃度に依存する。この実験はポリマー化したケイ酸によってたん白の沈殿が生じ尿道の損傷を排除すべく計画したもので、もし、700μgSiO2/cm3程度の濃度で長時間、例えば2時間、尿を保持すると、ケイ酸単量体は総SiO2濃度以下になった。この事実はポリマー化が起こっていることが推察される。1) (Baumann, 1960) 12名のボランティアに2.5gのポリマー化した無定形二酸化ケイ素(99.8%SiO2濃度、乾燥物)を単回経口投与したところ、統計的有意差は認められないが、僅かに尿中二酸化ケイ素濃度が増加した。1) (Langendorf et al., 1966)。 ヒトの観察によると肺疾患、慢性病、特に子供の成長遅延等の種々の疾病はケイ素の欠乏症と関連することが示唆される。1) (Monseaux, 1973) ■引用文献 1) WHO Food Additive Series No.5 Slicon dioxide and certain silicates (1973) (link to WHO DB) 2) WHO Technical Report Series 733, 1986 |メニューへ| |
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