マレイン酸

和名　マレイン酸
英文名　Maleic acid

CAS 110-16-7 (link to ChemIDplus)
　　108-31-6（無水物） (link to ChemIDplus)
別名　

収載公定書　薬添規(JPE2018)， USP/NF(28/23) EP（5）
用途　安定（化）剤，可溶（化）剤，緩衝剤，ｐH調節剤

■単回投与毒性：110-16-7； (link to ChemIDplus)，無水物；(link to ChemIDplus)

動物種	投与経路	LD₅₀(mg/kg体重)	文献
ラット	経口吸入	708mg/kg >0.72mg/L	Data Sheet 1970¹⁾
ウサギ	経皮	1569mg/kg	Data Sheet 1970¹⁾

■反復投与毒性：110-16-7； (link to TOXLINE)，無水物； (link to TOXLINE)

■遺伝毒性：110-16-7；(link to CCRIS)，無水物；(link to CCRIS)
マレイン酸（938-7500μg/plate）とその１－ナトリウム塩（938-15000μg/plate）および２－ナトリウム塩（938-15000μg/plate）は、標準的なAmes Salmonella/mammalian microsome　法（Aroclor-1254-induced rat liver S9の存在下あるいは非存在下）において、変異原性を示さなかった。²⁾ (Lake et al., 1988)

SV40ウイルスによって形質変化されたヒト線維芽細胞であるB-32 Cellを使用してDNA合成阻害試験を行った。マレイン酸は、Ames法では陰性、動物実験では肉腫の原因とされているが、本試験では150分以内にDNAの合成速度が低下し陽性であった。³⁾ (Yanagisawa et al., 1988)

■がん原性

■生殖発生毒性：110-16-7； (link to DART)，無水物； (link to DART)

■局所刺激性
ウサギ
眼刺激スコア　　　　 95/100 Data Sheet 1970¹⁾
皮膚刺激スコア　　1.55/8.00 Data Sheet 1970¹⁾

■その他の毒性
泌尿器系に対する作用
Wister系雄性ラットに生理食塩水で溶解したマレイン酸100mg/kg、200mg/kg（10mL/kg）を腹腔内投与した。3、6、12、24、48時間後に採血し、尿は24時間採取した。血中尿素窒素及び血中クレアチニン値は、100mg投与群で増加あるいは増加傾向、200mg投与群では24時間までは顕著な増加が認められた。200mg投与群では尿中タンパク及び尿中グルコースの顕著な増加が認められた。⁴⁾ (Yamada et al., 1995)

実験動物へのマレイン酸投与は、急激で可逆的な腎尿細管のファンコニ症候群に類似する複合機能障害を来たす。Sprague Dawley系雄性ラットにマレイン酸（100mg/kg）を静脈内投与した。マレイン酸投与2時間後、近位尿細管において初期の可逆的なNa:Kポンプ活性の低下（2324｜61から1446｜55 pmol/mm）を来たし、24時間後にほぼベースラインまで回復した。⁵⁾ (Mujais., 1993)

■ヒトにおける知見：110-16-7； (link to HSDB)，無水物；(link to HSDB)
21名の白人女性（22から51歳）で試験群を形成した。20％マレイン酸を同一人の掌側前腕部と毛をはさみで切り込んだ後の大陰唇部に適用した。マイクロピペットを用いて10μLの20％マレイン酸を直径1cmの皮膚円上に適用した。試験部分は乾燥し、開放状態とした。全例を24時間、10例を48時間観察した。24時間後、大陰唇側の76％、前腕側の62％に紅斑の陽性反応がみられた。48時間後は24時間後よりも反応が減弱していた（2例に紅斑）。⁶⁾(Britz et al., 1979)

■引用文献
1) Industrial Bio-Test Laboratories, inc., Northbrook, Illinois, Data Sheet No. 7-4/70, 2(1970)
2) LAKE R.S, DEVITO G.L, SZOT R.J, SCHWARTZ E. Nonmutagenicity of maleic acid and its sodium salts in Salmonella assays. 1988; 205: 1-5
3) YANAGISAWA K, NISHIO K, GOTOH S. Screening for Carcinogens by the DNA Synthesis Inhibition Test Using Human Fibroblasts. 1987; 183(1): 89-94
4) YAMADA T. Studies on the Mechanisms of Renal Damages Induced by Nephrotoxic Compounds. 1995; 49(6): 447-457
5) MUJAIS SK. Maleic acid-induced proximal tubulopathy: Sodium potassium pump inhibition. 1993; 4(2): 142-147
6) BRITZ MB, MAIBACH HI. Human cutaneous vulvar reactivity to irritants. CONTACT DERMATITIS. 1979; 5: 375-377

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