日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 クレゾール
英文名 Cresol

CAS 1319-77-3 (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 
収載公定書 局方(JP17), 外原規(2006USP/NF(28/23) EP(5)(Cresol, crude)
用途 防腐剤,保存剤


JECFAの評価:m-クレゾール  (link to JECFA)
ADI(1日摂取許容量):現在の使用を認める。 コメント:香味料として使用したとき、現在の摂取レベルでは、安全性に問題はない。


単回投与毒性 (link to ChemIDplus),
o-
クレゾール

動物種

投与経路

LD50

文献

ラット

10% in oil
10% in oil
50% in oil
Undiluted

1470
1350
360
121

Uzhdavini et al. (1976)1)
Deichmann & Witherup (1944)2)
FDRL (1975)3)
Bio-Fax (1969)4)

マウス

10% in oil

344

Uzhdavini et al. (1976)1)

ウサギ

10% in oil

940

Uzhdavini et al. (1976)1)


m-
クレゾール

動物種

投与経路

LD50

文献

ラット

10% in oil
10% in oil
10% in water
Undiluted

2010
2020
520
242

Pereima (1975) 5)
Deichmann & Witherup (1944)2)
Mellon Institute (1949) 6)
Bio-Fax (1969)4)

マウス

10% in oil
10% in oil

600
828

Pereima (1975) 5)
Uzhdavini et al. (1976)1)


p-
クレゾール

動物種

投与経路

LD50

文献

ラット

10% in oil
10% in oil
10% in oil
Undiluted

1430
1460
1800
207

Pereima (1975) 5)
Uzhdavini et al. (1976)1)
Deichmann & Witherup (1944)2)
Bio-Fax (1969)4)

マウス

10% in oil
10% in oil

440
344

Pereima (1975) 5)
Uzhdavini et al. (1976)1)




反復投与毒性 (link to TOXLINE)
短期反復投与試験
データを参照


遺伝毒性 (link to CCRIS)
In vivo
データを参照


がん原性 (link to CCRIS)
クレゾールの発癌性に関する十分なバイオアッセイや長期試験はない。2つの試験でクレゾールは腫瘍増殖活性を持つとされている。しかしながら、クレゾールの発癌性に関する結論はまだ出ていない。

マウス
マウス皮膚塗布モデルでクレゾールの腫瘍増殖作用について検討した。27から29匹のグループのマウスに発癌物質である9,10-ジメチル-1,2-ベンズアントラセンを皮膚に単回塗布し、その後o-, m-, p-クレゾールの20%ベンゼン溶液を週に2回、12週間塗布した。これらの3種のクレゾール異性体に関連した死亡はみられなかった。12週の時点で生存マウス1匹あたりの平均皮膚乳頭腫数と最低1個の乳頭腫を有するマウスの割合はクレゾール群で増加していた。腫瘍形成促進作用はo-クレゾールが最も大きく、p-クレゾールが最も小さかった。クレゾール塗布による腫瘍はみられなかった。当試験におけるクレゾールの溶剤は発癌物質として知られているベンゼンであったが、ベンゼン塗布の対照群には乳頭腫がみられなかったので、ベンゼンの存在が当結果に影響しなかったようである。以上の試験は、クレゾールに腫瘍促進作用があることを示唆している。(Boutwell & Bosch, 1959 38))

o-
クレゾール1mgをベンゾ(a)ピレン1mgと一緒に、マウスに1週間に2回、30週間経口投与した。ベンゾ(a)ピレンでは腫瘍の発生率と悪性率が増加し、腫瘍進行の期間が短縮したが、o-クレゾール高容量(10mg)と低用量(0.02mg)ではみられなかった。o-クレゾールをベンゾ(a)ピレンの前又は後に投与した場合では、反対の影響がみられ、発癌性を減少させた。(Yanysheva et al., 1993 39))


生殖発生毒性 (link to DART)
ラット
構造活性と妊娠毒性及び発達毒性との関連性についてp-クレゾール等を含むフェノール化合物を検討した。妊娠ラットに妊娠11日目にp-クレゾールを0, 100, 330, 670, 1000mg/kg/日を胃管にて経口摂取した。投与数時間後の臨床症状を観察し、妊娠10, 11, 12, 14, 17, 21日目に体重を測定した。仔の体重と生育能は生後1, 3, 6日に検査した。いかなる奇形をも記録し、死亡及び衰弱仔は剖検した。仔ラットが離乳した後、母ラットを屠殺し、子宮の着床痕をカウントした。周産期に流産した仔の数は子宮着床痕数と生後6日の生存仔ラットの数の差としてカウントした。離乳後の仔は剖検し、検査した。フェノール群では6701000mg/kg/日投与した母ラット仔に後足麻痺及び尾の奇形がそれぞれ21%27%にみられた。p-クレゾール群では330 mg/kg/日以上の量を投与した母ラットで体重が減少した。周産期流産数の統計学的有意な増加はみられなかった。(Kavlock, 1990 0))

o-, m- and p-
クレゾールのラット2世代生殖試験を行った。コーンオイルに溶かした各異性体について1群雄雌各25匹のSprague-Dawley CDラットに0, 30, 175 or 450 mg /kg bw/日を出産前10週間、胃管により投与した。雌に対しては、交尾期間、出産期、授乳期も投与を継続した。離乳後、雄雌の生仔に親と同量のクレゾールを11週間投与した。F0 雌のケースと同様、F1 雌についても交尾期間、出産期、授乳期も投与を継続した。F2 仔は離乳時にすべて屠殺した。これら3種のクレゾール異性体は親ラットに有害な影響を引き起こした。F0 ラットでは、死亡、体重増加の低下、臨床症状(活動性の低下、運動失調、痙攣、振戦、虚脱、呼吸困難、着色尿、口周囲湿気)等の有害な影響が450 mg/kg投与群にみられた。F1ラットでは、175 mg/kgで同様のいくつかの有害な臨床症状がみられた。しかしながら親に有害な影響を引き起こした量であっても、生殖機能または生殖器の形態への影響は認められなかった。m-クレゾール450mg /kg 群のF0 雄にみられた精子数の減少、精巣萎縮は剖検による変化または特性できないストレスによるものであった。p-クレゾール450mg /kg群の数匹のF1 雄にみられた精子数減少は、同様にクレゾール投与に起因するものではないと考えられる。(BRRC1989a,b,c 41, 42, 43))

o-
またはp-クレゾール600mg/kg bw m-クレゾール450mg/kg bwを胃管にて13週間毎日摂取したラットにおいて、精巣への有害な影響は認められなかった。(MBA, 1988a,b,c 10, 11, 12))

トリクレゾール(o-, m- and p-クレゾールの混合物)の生殖器への影響を白色ラットで検討した。空気中0, 0.6, 4.0 mg/m3 のトリクレゾールを4 ヶ月間(1日の暴露量は不明)ラットに暴露させた。4 mg/m3群では卵巣に機能的及び構造的な影響が認められた。機能的な影響としては発情間期ステージの短縮を伴う発情期サイクルと発情期サイクルステージの延長がみられ、形態学的分析では初期卵胞数減少と卵胞閉鎖の増加がみられた。0.6 mg/m3群でも同様に形態学的変化が認められた。(Pashkova (1972 44), 1973 45) )

3種のクレゾール異性体について、ラットの2世代にわたる生殖試験を実施した。いずれの異性体も発生期間中の同時期に仔の体重に影響を及ぼした。仔の体重低下または成長遅延のほとんどは、450mg/kg bw/日群にみられた。また、親ラットにおいてもこの用量では明らかな影響がみられた。低用量群における体重変動(特にm-クレゾール投与群において)はクレゾール投与によるものかどうかは明らかではない。さらにm-クレゾール450mg/kg群ではF2仔の誕生から授乳期までの生存数を減少させた。(BRRC, 1989a, b, c 43, 47, 48))

発生毒性スクリーニング試験で、p-クレゾールは410 mg/kg bwの投与で親への毒性(体重増加の低下)を引き起こした。しかし、着床後胚死亡または仔体重への影響は見られなかった。(Kavlock, 1990 40))

ラット胎芽をin vitroで培養した試験では、p-クレゾールは成長(頭部から臀部までの長さ、中胚葉節数、DNA量)に用量依存的な影響がみられ、また形態的異常(後肢欠損、全尾欠損)を引き起こしたが、これらの結果の有意性は明らかでない。(Oglesby et al., 1992 49))

ラット、マウス
F344/N
ラット及びB6C3Fl マウスにo-クレゾールまたはm-/ p-クレゾールを食餌に混入して13週投与し、精子運動、精子濃度及び発情期サイクルについて検討した。o-クレゾール及びm-/ p-クレゾールの混餌量は、ラットでは双方1880, 7500 or 30 000 mg/kgであり、マウスでは、o-クレゾールは、1250, 5000, 20 000 mg/kgm-/ p-クレゾールは、625, 2500, 10 000 mg/kgである。ラット、マウス共に、いずれの群においても精子運動または精子濃度への影響は認められなかった。o-クレゾール30 000 mg/kg群では、マウスで発情期サイクルの期間の延長が見られた。有意ではないが同様な傾向がラットでも認められた。体重減少は、この影響によるものとは思われなかった。m-/ p-クレゾールでは、ラットの7500 and 30 000 mg/kg群で発情期サイクル期間の延長が見られたが、体重変化とは関連性はなかった。マウスでは発情期サイクルに影響は認められなかった。(The US NTP, 1992 7))

マウス
CD-1 Swiss
マウスにo-クレゾールまたはm-/p-クレゾール混合物(59% +41%)を食餌に混入して14週投与し、継代投与による生殖毒性を検討した。食餌中のo-クレゾールの濃度は0.05, 0.2, 0.5% (500, 2000, 5000 mg/kg diet)であり、m-/p-クレゾールのそれは0.25, 1.0 and 1.5% (2500, 10 000, 15 000 mg/kg diet)である。m-/p-クレゾール5%2100 mg/kg bw/日に相当)群では、仔のサイズが有意に減少し(対照群の80%)、2回目から5回目の出産の累積日数が3日から4日に延長した。対照群と1.5% m-/p-クレゾール混合物とのクロスオーバー繁殖で、両親がクレゾール投与を受けていたFoマウスの生存仔(F1)の補正体重に低下が見られた。高用量のFo雄では体重(90%)低下と精嚢相対重量の低下がみられ、雄の腎臓及び肝臓の相対重量はそれぞれ1.0%1.5%群で増加していた。雌では、すべての用量で肝臓の相対重量が増加していた。これは、体重減少(94%)に随伴するものであった。1.0, 1.5%m-/p-クレゾール群では、離乳前と離乳後の成長及び生存率に影響がみられた。F1 世代において、m-/p-クレゾールの混合物は生殖能に影響を及ぼさなかったが、F1出生後の成長と生存率及びF2生存仔の体重は1.5%群で低下した。剖検所見では、1.0, 1.5%群でF1雄の体重、精嚢の相対重量、前立腺重量に低下がみられた。雌では、1.0, 1.5%群で体重が減少した。肝臓及び腎臓の相対重量の増加が雌雄のすべての用量群にみられた。
o-
クレゾールでは、0.5%までの用量(550 mg/kg bw/日に相当)ではいずれの世代においても生殖器と一般的な毒性パラメーターに影響を及ぼさなかった。以上、1.0%以上のm-/p-クレゾールの混合物は、成熟ラットで軽度の生殖毒性を引き起こし、出生後の有意な毒性が観察されたと結論づけている。o-クレゾールは、本試験の用量範囲では影響はなかった。(Izard et al., 1992 46))

ラット、ウサギ
ラット及びウサギを用い、o-, m-, p-クレゾールの発生毒性試験を行った。125匹の受精雌ラットに、コーンオイルに混ぜた各異性体の0, 30, 175, 450 mg /kg を胃管チューブで妊娠6から15日目まで投与した。母ラットに対する影響は、3つの異性体すべて450mg/kgで明らかであった;死亡、食餌摂取量減少、体重増加の低下、臨床症状(可聴呼吸、活動性低下、痙攣、振戦)。m-クレゾールではいずれの用量においても胎仔の成長に影響がなかったが、o-クレゾールとp-クレゾールでは450mg/kgで軽微な胎仔毒性がみられた(それぞれ両側脳室の拡張発現率の増加とわずかな骨格異常)が、これらは母親毒性により二次的に発現したものである。

ウサギの試験では、114匹の受精雌ウサギに、コーンオイルに混ぜた各クレゾール(0, 5, 50, 100 mg/kg bw/日)を胃管チューブで妊娠6から18日目まで投与した。可聴呼吸、眼脂、活動性低下、死亡(p-クレゾールのみ)を含む母ウサギへの影響は、50mg/kg以上の群でみられた。o-クレゾールの100 mg/kg群では胎仔毒性が認められた(頭部表皮下血腫発現率の増加及び胸骨分節骨化不全)。m-及びp-クレゾールでは、今回の用量範囲内では発生学的影響は認められなかった。(BRRC, 1988a,b 41, 42))

ミンク
雄雌ミンクに、o-クレゾール0, 100, 400 または1600 mg /kg dietを食餌に混ぜて、交尾前2ヶ月間及び離乳まで投与した。1600 mg/kg dietを投与した親(F0)には有害な影響が認められた(雄での体重増加の低下、肝臓の相対重量増加、赤血球数増加)。しかし、それらの第一世代(F1)では、生殖器への影響は認められなかった。1日の投与量は体重あたり雄では、0, 5, 25 and 105 mg/kg bwに、雌では、0, 10, 40 and 190 mg/kg bwに相当する。(Hornshaw et al. , 1986 8))

フェレット
精巣重量の増加が食餌中o-クレゾール25204536 mg/kgを投与したフェレットに認められた。(Hornshaw et al., 1986 8))


局所刺激性
皮膚、眼への刺激
ウサギにクレゾール(o-, m-, p-クレゾールまたはこれら3異性体の混合物) 0.5 ml4時間皮膚に塗布したところ、明瞭かつ不可逆的な組織破壊が認められた。(Vernot et al., 1977 50))

重篤な皮膚及び眼への刺激が他の試験でも報告されている。(Mellon Institute, 1949 51); Bio-Fax, 1969 4); Younger Labs, 1974 52); FDRL, 1975 3); Scientific Associates, 1976 53); Dow Chemical, 1978 54))

眼への刺激は、高用量のクレゾール(o-クレゾールとクレゾール混合物)を空気中で一時的に暴露させたラット及びマウスにおいても認められている。(Campbell 1941 55); FDRL, 1975 3); Dow Chemical, 1978 54))


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
誤用
一般的に報告されるクレゾール毒性の症例は、クレゾール含有物質の誤飲または、故意の摂取である。

クレゾールには強力な刺激性があり、摂取すると口や喉の火傷、腹痛、嘔吐を引き起こす。(Isaacs, 1922 56); Jouglard et al., 1971 57); Wiseman et al., 1980 58))

ヒトに摂取されたクレゾールによる症状は、まず最初に中枢神経系、血液、腎臓に現れる。肺、心臓、肝臓における影響も報告されている。(Isaacs, 1922 56); Labram & Gervais, 1968 59); Chan et al., 1971 60); Jouglard et al., 1971 57); Cote et al., 1984 61); Minami et al., 1990 63))

クレゾール経口摂取時の毒性について2症例の報告がある。1症例は、クレゾールを50%含有する消毒剤を約250mL飲んだ女性の症例である。患者は、摂取2時間後に病院に搬送された時、昏睡状態であったが、10時間後には意識が回復した。血液学的変化がみられた。入院7時間以内に赤血球グルタチオンレベルが明らかに減少し、メタヘモグロビン血症がみられた。3日以内に広範囲のハインツ小体の出現とともに重篤はヘモグロビン血症と血色素尿が認められ、血管内溶血が発現したことを示していた。患者は翌日、急性血管内溶血による血栓形成及び腎不全により死亡した。剖検では、肝臓と腎臓に中等度の脂肪変質、糸球体にフィブリンの固まり、血管内血栓と一致する管状変性がみられた。著者は、同じクレゾール含有消毒剤100mLを飲んだ後に回復した別の女性の症例についても報告している。患者は、摂取後1.5時間後に病院に搬送された時、半ば意識はあった。入院時、血液検査でメタヘモグロビンが検出されたが、6時間後には消失していた。ハインツ小体は入院後6時間で観察されたが、2日以内に消失していた。(Chan et al., 1971 60))

溶血性貧血及び関連性のある症状は他の症例報告においても述べられている。クレゾールを12%混ぜた原油蒸留液である“浸透力の強い油”100mLを飲んだヒトにみられるハインツ小体形成、ヘモグロビン血症、血色素尿は、溶血性貧血の根拠となる。(Cote et al., 1984 61))

濃縮したクレゾール混合物約250mLを飲んだヒトではクレゾール摂取2週間は、重篤な溶血性貧血が発現する。(Jouglard et al., 1971 57))

入院2時間前にクレゾール含有消毒液を飲んだヒトにおいて、入院時、暗色尿及びメタヘモグロビン血症がみられた。メタヘモグロビンの血中濃度を定期的に測定したところ、入院15時間後に著しく増加していた。患者はその後、輸血を行い、その後はメタヘモグロビン濃度は、正常値に低下し、患者は回復した。(Minami et al., 1990 63))

クレゾール混合液を500mLから750mL飲んだ女性についての症例報告がある。45分後に入院した時、患者は昏睡状態であり、多形心室性期外収縮を伴う頻脈がみられた。入院24時間後に一時的な心室細動の後に、心停止となった。剖検で、最も注目すべき所見は、腎臓の近位尿細管の広範囲の好酸球性壊死であった。医師によると、この障害は死亡前に発現したものであり、クレゾールの標的臓器を示していると考えられるとしている。気管支上皮細胞の汎発性壊死も死亡前に発現したと考えられた。肺浮腫及び出血もみられたが、これは死亡によるものであった。他の臓器にみられた汎発性の壊死も死亡によるものであった。(Labram & Gervais, 1968 59))

25-50%
のクレゾールを含む消毒液を4-120mL摂取した五二症例のクレゾール中毒症状について報告がある。口、喉の火傷、腹痛、嘔吐が一般的なクレゾール中毒の症状であった。昏睡も多く発現していた。いくつかの症例では、摂取直後に意識消失がみられ、14時間以上継続していた。数症例でみられた腎臓への刺激性とphenolsulfonephthalein排泄の低下は、腎臓えの影響が発現したことを示唆していた。暗色尿はほとんどの症例でみられ、これはヘモグロビン尿症によるものであった。血液異常はみられなかったが、血液検査の詳細は報告されていない。いくつかの血液学的変化(例えば、メタヘモグロビン血症、ハインツ小体形成)は見落とされた可能性がある。52症例中2例のみが死亡した。死亡した両症例はクレゾール摂取30分以内に死亡していた。(Isaacs, 1922 56))

45mL
以上のクレゾールを摂取後、入院した32歳男性の症例報告がある。この患者は入院時、意識はあったが、その後12時間の間に頻脈と収縮期血圧低下が発現した。血清総フェノール値は、入院後24時間で上昇した。患者は心筋不全と肺浮腫のため4日後に死亡した。(Arthurs et al., 1977 62))

クレゾール中毒の症例は、経口摂取だけでない。皮膚への暴露事故が報告されており、皮膚腐食が発現している。(Herwick & Treweek, 1933 64); Green, 1975 65); Wiseman et al., 1980 58); Pegg & Campbell, 1985 66))

ある1症例においては、暴露1年後も傷跡が消えずに残っていた。(Herwick & Treweek, 1933 64))

皮膚暴露による全身への影響も報告されている。患者は1歳の子供でクレゾール製品(90%クレゾール水溶液)20mLを頭にこぼした。火傷がみられた顔、頭皮のクレゾール接触部分は、体表積の約7%であった。子供は5分後に昏睡状態となり、4時間以内に死亡した。剖検では、肺の出血性浮腫、肺の中心葉から中心部の広範囲壊死、腎臓の肥大と尿細管壊死、脳のうっ血及び肥大がみられた。(Green, 1975 65))


参考文献
OECD database (link to SIDS)
小児(link to STEP database;要Login)

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