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和名 カプリル酸ナトリウム 英文名 sodium caprylate CAS 1984-06-1 (link to ChemIDplus) 別名 オクタン酸ナトリウム、sodium octanoate 収載公定書 薬添規(JPE2018), EP(5) 用途 安定(化)剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) 1日許容摂取量(ADI)を規定していない。 (No ADI allocated) ■単回投与毒性 ウサギへの静脈内単回投与(150 mg/kg)では明らかな一過的な血小板の凝集の抑制を認めた。経口単回投与では血小板の機能に対して影響が無かった。1)(Tangen et al., 1975) ■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ウサギへの2、3週間の経口投与(250 mg/kg)では生理食塩を投与した対照群と比較して血小板の凝集の進行性でかつ重大な低下を示した。ヘマトクリット、血漿コレステロール、トリグリセリド、ケトン体の濃度には変化が無かった。1) (Tangen et al., 1975) ■遺伝毒性 該当文献なし ■がん原性 該当文献なし ■生殖発生毒性 (link to DART) ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 血小板機能に対する影響 5例のウサギにカプリル酸ナトリウムの150 mg/kgを単回静脈内投与した結果、明らかな一過性の血小板反応の低下が認められたが、粘着能への影響はみられなかった。250 mg/kgの単回経口投与では血小板に対する影響はみられなかった。9例のウサギにカプリル酸ナトリウムの250 mg/kgを21日間経口投与した結果、血小板粘着能の有意な(p<0.05)が認められた。血小板数、ヘマトクリット、血漿コレステロール、トリグリセリド、ケトン体濃度に変化はみられなかった。1) (Tangen et al., 1975) 抗原性 ウサギ血清とカプリル酸ナトリウムをインキュベートしてウサギに免疫した。得られた抗血清のカプリル酸塩依存的アルブミン凝集性(CDAA)を評価した。免疫した3羽のうち2羽からCDAA反応を示す抗血清を得た。カプリル酸塩でインキュベートしたアルブミンを細胞/血清混合物に添加した場合もしくはカプリル酸塩を含まないアルブミンおよびカプリル酸塩を細胞/血清混合物に添加した場合に凝集が生じた。この凝集はウサギの赤血球細胞を用いたときには起こらなかったが、ヒト成人赤血球細胞およびヒト臍帯血赤血球細胞を用いた際に生じた。2) (Hossaini et al., 1977) その他 5例の雌性アカゲザルにオクタン酸ナトリウムの5 mmol/kgを20分間かけて静脈内投与した。その結果、2分後に筋緊張低下及び睡眠時のような緩徐で大きな振幅の脳波が発現した。その後の10分間に眼球運動及び筋緊張の消失が認められた。40分後に回復が確認された。3) (Rabinowitz et al., 1978) ウサギに0.2 Mのオクタン酸ナトリウムを0.19 mL/minの流速で4時間かけて点滴静脈内投与した。対照群には生理食塩液を同様に点滴静注した。静脈内投与後、ペントバルビタール麻酔下で脳を摘出し、局所のNa+K+ ATPase活性を測定した。その結果、対照群と比較してオクタン酸塩を投与したウサギに関して局所的なNa+K+ ATPaseの活性の顕著な低下が皮質、視床、視床下部、橋、髄質で認められた。4) (Trauner, 1980) ウサギに0.2 Mのカプリル酸ナトリウムを0.19 mL/minの流速で4時間かけて点滴静脈内投与した。この結果、最大血中濃度は200-500 mmol/L、投与開始2時間後の脳内濃度は600-700 mmmol/kgであった。注入時に動物は明らかな過呼吸、軽度の呼吸性アルカローシスを示した。重大な高アンモニア血症および乳酸血症も認められた。5) (Trauner et al., 1978) 9例の幼若ウサギ(離乳直後)及び4例の成熟ウサギにオクタン酸ナトリウムの0.2 Mを0.1 mL/minの流速で4〜6時間かけて点滴静脈内投与した。幼若及び成熟動物のいずれにおいても、注入開始15分後に血中グルコースの顕著な減少を観察した。この低血糖は1時間程度続いたが、2時間後には正常な血糖値を示した。幼若動物で測定した肝臓のグリコーゲン濃度は、投与開始4時間後にオクタン酸塩投与群において低下が認められた。6) (Trice et al., 1985) ■ヒトにおける知見 (link to HSDB) ■引用文献 1) Tangen O, Wallenbeck IA, Bergqvist D. Platelet reactivity ex vivo and in vivo after acute and chronic treatment with sodium caprylate. Scand J Clin Lab Invest. 1975; 35: 19-23 2) Hossaini AA, Hazeghi K, Amiri P. Experimental induction of caprylate-dependent albumin antibodies. Transfusion. 1977; 17: 54-58 3) Staeffen J, Arnauld E, Ferrer J, Series C. Coma induced in Macaca mulatta by intravenous sodium octanoate. Polygraphic study C R Seances Soc Biol Fil. 1973; 167: 1595-1599 4) Rabinowitz JL, Staeffen J, Aumonier P, Blanquet P, Vincent JD, Daviaud R, Ballan P, Ferrer J, Terme R, Series C, Myerson RM. The effects of intravenous sodium octanoate on the rhesus monkey. Am J Gastroenterol. 1978; 69: 187-190 5) Trauner DA. Regional cerebral Na+K+ ATPase activity following octanoate administration. Pediatr Res. 1980; 14: 844-845 6) Trauner DA, Huttenlocher PR. Short chain fatty acid-induced central hyperventilation in rabbits. Neurology. 1978; 28: 940-944 7) Trice JE, Trauner DA. Alterations in serum glucose and hepatic glycogen concentrations during octanoate administration in rabbits. Pediatr Neurol. 1985; 1: 294-297 |メニューへ| |
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