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和名 還元ラノリン 英文名 Lanolin, Hydrogenated CAS 8031-44-5 (link to ChemIDplus) 別名 水素添加ラノリン(111030) 収載公定書 薬添規(JPE2018) 外原規(2006) 用途 基剤,乳化剤 ■反復投与毒性 (link to TOXLINE) 以下は該当文献なし ■単回投与毒性 ■遺伝毒性 ■がん原性 ■生殖発生毒性 ■局所刺激性 ヒトに2 %の還元ラノリンを含有する製剤を皮下投与したとき,刺激性が認められている。1) (BERUA, 1960) ■その他の毒性 抗原性 モルモット計8匹による還元ラノリンのパッチ試験では、還元ラノリンに強いアレルギー反応が認められた。また還元ラノリンをカラムクロマト法により分離・同定した分岐鎖ジオール iso-hexadecane-1,2-diolのモルモット4匹によるパッチ試験では、分岐鎖ジオールに強いアレルギー反応が認められた。 モルモット17匹に還元ラノリンをエタノールに1%に溶解し局所注入した感作試験(GMT法)では、還元ラノリンは陽性反応を示した。また、同様に分岐鎖ジオール iso-hexadecane-1,2-diolのモルモット14匹による感作試験では、分岐鎖ジオールに陽性反応が認められた。これらの結果より、還元ラノリンの主たるアレルゲンは分岐鎖ジオールであることが示された。2) (岡本ら, 1983), 3) (Takano. et al., 1983) ■ヒトにおける知見 接触性皮膚炎患者756名に還元ラノリンおよび無水ラノリンを塗布するパッチ試験を実施した。それぞれの1%濃度における陽性率は、還元ラノリンで5.20% (26/502)、無水ラノリンで1.99% (10/502)となり、還元ラノリンで有意に高い陽性率を示した。また0.5%濃度においても同様に還元ラノリンが有意に高い値を示した。還元ラノリンのアレルゲンとしては、ラノリンアルコール類、酸化され易い低分子物質、還元工程における痕跡量のニッケル、銅、クロムの混入が考えられた。4) (Sugai and Higashi, 1975) 女性(19才、単純ラノリンを含む栄養クリームに正常)の両上腕屈側に、還元ラノリンを含む栄養クリームおよび還元ラノリンを含まない対照クリームを塗布するパッチテストを実施した。塗布直後、翌日および3日後の最終判定において、単純ラノリン製剤は、精製度の低い粗製ラノリン(局方規格以下)においても、すべてのクリームが陰性であった。一方、還元ラノリン製剤はすべてに強陽性を示した。さらに、最精製した還元ラノリンを用いる栄養クリームにおいても、中等度の陽性を示した。5) (須貝, 1977) 還元ラノリンを含有する軟膏を使用して、接触性皮膚炎を発症した症例の報告がある。6) (Vollum, 1969)、7) (窪野, 1973)、8) (中内ら, 1975)、9) (日野ら, 1975) ■引用文献 1) BERUA ; Berufs-Dermatosen. Aulendorf (Ger.) Editio Cantor, continuated by Dermatosen in Beruf und Umwelt Occupational and environmental dermatoses 1957-1977 1960; 8: 164 2) 岡本暉公彦ほか 水素添加ラノリン中の感作物質の分離と同定 日本香粧品科学会誌 1983;7(4): 399-400 3) Takano S. et al., Allergens of Lanolin: PartT: Isolation and Identification of the Allergens of Hydrogenated Lanolin, Part U: Allergenicity of Synthetic Alkane- α,β-Diols and Alkane-α,ω-Diols J. Soc. Cosmet. Chem. 1983;34: 99-125 4) Sugai T. and Higashi J. Hypersensitivity to hydrogenated lanolin Contact Dermatitis 1975; 1(3): 146-157 5) 須貝哲郎 還元ラノリンの潜在感作について 日本臨床 1977; 35(8): 2678-2680 6) Vollum D. I. Sensitivity to hydrogenated lanolin Arch. Dermatol. 1969; 100(6):774-775 7) 荻野篤彦 皮膚科紀要 1973; 68: 124 8) 中内洋一ほか 日本皮膚科学会雑誌 1975; 85: 489 9) 日野治子ほか 日本皮膚科学会雑誌 1975; 85: 610 |メニューへ| |
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