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和名 ウコン抽出液 英文名 Turmeric Extract CAS 8024-37-1 (link to ChemIDplus) 別名 収載公定書 食添(JSFA-IX)(ウコン色素) 外原規(2006)(ウコンエキス) 用途 着色剤 ■JECFAの評価 (link to JECFA) ターメリックとしてのラットでの無毒量は混餌投与で0.5%(=5000ppm)であり、これは1日当り250mg/kg bwに相当する。 ヒトでの1日許容摂取量(ADI)は暫定値として、ターメリックは0-2.5mg/kg bw.、クルクミンは0-0.1mg/kg bw.である。1) ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ラット 1群雌雄各5匹のWistar系ラットに、2.5g/kg bwのターメリック又はターメリックのアルコール抽出液を300mg/kg bwを食餌に混入して1日間投与した。その後、対照食を与え、3週間観察した。投与群では対照群と比べ、死亡率、体重又は心、肝、腎の重量、肉眼的所見及び顕微鏡的検査に異常は観察されなかった。1) (Shankar et al., 1980) 1群雌雄各7匹の白色ラットに、基礎食又は500mg/kg bw/日相当のターメリック含有食を3ヶ月間与えた。対照・投与群間に体重増加、血液学的パラメータ、肝・腎の相対重量及び組織学的所見に統計学的に有意な変化はなかった。1) (WHO, 1980) 1群雄10匹のWistar系白色ラットに、0.3、1.0、10%のターメリック又は0.1、0.5、1.0、2.0%のクルクミンを含有食を8週間与えた。ターメリック10%群では、摂餌量減少に伴うと思われる食餌効率の低下が見られた。他の用量群では、体重、血液学所見、血清の蛋白、アルブミン、グロブリン、コレステロールに影響は見られなかった。死亡例はなく、胃腸管、肝、脾、腎に病理組織学的な変化は認められなかった。1) (WHO, 1980) 1群雌雄各20匹のラットに、0.5%の市販のターメリックを含んだ食餌を420日間与えた。対照群には雌雄各15匹を用いた。試験に供した動物の平均寿命は16.5ヶ月で、対照群は17ヶ月であった。成長、血液学的所見、繁殖機能は対照群と同様、正常であった。肝臓の鬱血は、試験動物も対照群も同じように見られた。腫瘍は認められなかった。第一世代の全生涯に亘る追跡調査では、雌ラットの1例に良性腫瘍を認めた以外に異常はなかった。1)(Truhaut, 1958) モルモット 1群雄5匹のモルモットに、2.5g/kgのターメリック又はターメリックのアルコール抽出液の300mg/kg bwを食餌に混入して1日間与えた。その後、対照食を与え、3週間観察した。投与群では対照群と比べ、死亡率、体重又は心、肝、腎の重量、肉眼的所見及び顕微鏡的検査に異常は観察されなかった。1) (Shankar et al., 1980) 成熟した雄のモルモット5匹の群に、500mg/kg bwのターメリック又は60mg/kg bwのターメリックのアルコール抽出液を基礎食に混入して3ヶ月間与えた。観察期間中に死亡例はなく、被検物質は、体重増加、血液学的パラメータ、肝・腎・心の相対重量及び組織学的な影響を与えなかった。1) (WHO, 1980) イヌ 雄3匹の子犬の群に、500mg/kg bwのターメリック又は60mg/kg bwのターメリックのアルコール抽出液をミルクに混合して3ヶ月間与えた。観察期間中に死亡例はなく、被検物質は、体重増加、血液学的パラメータ、肝・腎・心の相対重量及び組織学的な影響を与えなかった。1)(WHO, 1980) 2匹のイヌに、市販ターメリックを約1%含む食餌を1年間与えた。対照群の2匹と比較し、有意な影響は認められなかった。1)(Truhaut, 1958) ブタ 1群雌雄各4匹のブタに、57、286又は1430mg/kg bw/日のターメリック精油樹脂(クルクミン含量17.5%)を3ヶ月間与えた。対照群には雌雄各6匹のブタを用いた。剖検では変化は認められなかった。詳細な生物学的、生化学的、組織学的報告は不明である。1)(Poulsen, 1982) サル 成熟した3匹の雌サル群に、2.5g/kgのターメリック又はターメリックのアルコール抽出液を300mg/kg bwを食餌に混入して3週間与えた。対照群と比較して投与による影響は、死亡率、体重、心・肝・腎の重量及び顕微鏡的所見に認められなかった。1)(Shankar et al., 1980) 4匹の雄サルに、500mg/kg bw/日のターメリックをバナナに隠して9ヶ月間与えた。同じような群を対照に供した。血液、尿検査、及び肝、腎、心、脳、脾及び精巣の組織に影響は認められなかった。詳細は不明である。1) (WHO, 1980) ■遺伝毒性 (link to CCRIS) クルクミンの根茎を砕き、水で抽出物を希釈したクルクミン抽出液は、Alluim cepaの根の先端細胞の細胞分裂中期に異常を来たした。主たる異常は染色体破損であった。加えて、C-有糸分裂、体細胞分離、二核細胞、分裂後期の多極性が観察された。1)(Abraham et al., 1976) in vitroにおける哺乳類細胞に及ぼすターメリックのアルコール抽出液の影響を、Chineseハムスター(Cencetulus griseus)の細胞、cactusマウス(Peromyseus eremicus)とIndian munja(Muntiacus muntjac)の細胞株Don及び短期のヒトの培養リンパ球を用いて検討した結果、有糸分裂停止と同様な染色体の形態異常(染色分体の分離、切断、崩壊)が見られた。Chineseハムスター細胞による標識ヌクレオシドの取込みは、ターメリック抽出物の濃度によって著しく抑制されたが、その濃度では染色体の形態に検知しうる変化は生じなかった。1) (Goodpasture & Arrighi, 1976) Swiss白色の離乳マウスを用い、対照食、0.5%のターメリック含有食又は0.015%のクルクミン含有食を12週間与え、以下の遺伝毒性研究を行った。クルクミン、ターメリック投与群は共に、小核試験(1群雌8匹)においても骨髄の染色体(1群雌雄5匹)においても細胞遺伝学的な影響は認められなかった。同様に、試験食を与えられた雄15匹と雌45匹のマウスを用いた優性致死試験においても被検物質の影響はなかった。 これとは別の、1群雌雄各5匹のラットに0、0.05又は0.5%のターメリックを含有する調理済みの食餌、又は0.5%のターメリックを含んだ未調理の食餌を12週間与えた実験においても骨髄の染色体異常は見られなかった。1) (Vijayalaxmi, 1980) ターメリックは、倍数体イースト株B234系の遺伝子交換誘発試験において反応性を示さなかった。1)(Murthy,1979;Sankaranayavan & Murphy, 1979) クルクミンは、TA-98とTA-100を使ったサルモネラ/ミクロゾーム試験、ハムスターの肺線維芽細胞とヒト胎児の繊維芽細胞を用いた姉妹染色分体交換及びカイコの変異試験で活性を示さなかった。反応陽性であったのは、枯草菌(B.subtilis)を用いた復帰変異試験及びハムスターの肺線維芽細胞の染色体異常試験であった。1) (Kawachi et al., 1980) クルクミン及び市販のターメリック精油樹脂(17.5%のクルクミンを含有)は、1.28、6.4、32.0、160μg/plateの濃度で、TA-1535、TA-100、TA-98を使ったサルモネラ/哺乳類ミクロゾーム試験では反応性を示さなかった。1) (Jensen, 1982) ターメリックの温水抽出液を雄のキイロショウジョウバエに投与した時、ターメリックは性染色体の欠如及び優性致死変異を誘発しなかった。1) (Abraham & Kesavan, 1978) クルクミンはin vitroでChineseハムスターの卵巣細胞において染色体損傷を誘発しなかった。1) (Au & Hsu,1979) ■がん原性 (link to CCRIS) ■生殖発生毒性 妊娠ラットに、ウコン(Curcuma longa)の根茎を石油エーテル、アルコール又は水で抽出した物の100または200mg/kgを妊娠1-7日に、胃ゾンデで投与した結果、出生率は低下した。ウサギに抽出物を200mg/kgまで投与した研究では、排卵抑制は見られなかった。1)(Garg,1974) 1群10匹の雄と20匹の雌の白色ラットに、毎日、ターメリック500mg/kg又はターメリックアルコール抽出液60mg/kgを食餌に混入して与えた。2群の対照群を比較グループとして使った。F0世代の投与は生後28日から行った。最初の交配は試験食餌開始12週間後から行った(雄1匹に対して雌2匹)。授乳期間は3週間とした。離乳した雌は次の交配まで2週間休ませた。最初の交配で生まれた同腹仔は離乳時に間引いた。2番目の同腹仔から、雄10匹、雌20匹をそれぞれの群より選んだ。このF1世代は成熟後、親世代と同じように交配させた。研究はF2世代まで続けられた。ここまでは、最初のF0世代の2回の交配の結果だけが利用できる。その結果、各群間に受精率、妊娠率、生育力・授乳指標、仔の体重・数に有意な違いはなかった。1) (WHO,1980) ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 クルクミンの経口投与は、マウスやラットを用いた種々の試験系で炎症反応を抑制することが見出されている(Ghatak & Basu, 1972;Srimal & Dhawan, 1973)。 経口投与で160mg/kgまで用量を上げると、クルクミンはマウスのフェニルキノン誘発writhingを抑制しなかった。80mg/kgでは発熱ラットの体温を低下させなかった。また、麻酔ネコにおける血圧及び呼吸は10mg/kgの静注で影響されなかった。1) (Srimal & Dhawan, 1973) 1群10匹の白色Porter系ラットに、2%のアラビアゴムに懸濁したクルクミンを50又は100mg/kg、6日間経口投与をした。高用量では胃の糜爛が見られ、ムチン含有量の変動が潰瘍の原因であると報告された。アドレナリン、コリン、トリプタミン及びヒスタミン受容体拮抗薬の前処理によって部分的には潰瘍の進展が抑制された。メチアマイド(meiamide)では完全にその障害が防御された。1) (Gupta et al.,1980) in vitroで5.15x10-3 Mのクルクミンは、ラットの脳標本の過酸化を95%抑制した。1)(Sharma, 1976) ■ヒトにおける知見 該当文献なし ■引用文献 1) WHO Food Additives Series 17, 1982 TERMERIC AND CURCUMIN (link to WHO DB) 382. Turmeric and curcumin (WHO Food Additives Series 6) (link to WHO DB) 138. Turmeric (FAO Nutrition Meetings Report Series 46a) (link to WHO DB) ■Abbreviation ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature |メニューへ| |
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