日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 オキシベンゾン
英文名 Oxybenzone

CAS 131-57-7 (link to ChemIDplus)
別名 2-Hydroxy-4-methoxybenzophenone 
収載公定書  薬添規(JPE2018) 外原規(2006)  USP/NF(28/23)
用途 安定(化)剤

単回投与毒性 (link to ChemIDplus)

動物種

投与経路

LD50(mg/kg体重)

文献

ラット

経口

>12.8g/kg

(Lewerenz) 1)



反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
1
群雌雄各5匹のB6C3F1マウスに2週間、1群雌雄各10匹のB6C3F1マウスに13週間、オキシベンゾン0312562501250025000あるいは50000ppmを摂餌投与した。2週間投与したマウスのみ、投与量依存の肝細胞の細胞質空胞化を伴う肝重量の増加が見られた。13週投与したマウスでは、投与量依存の体重増加の抑制と肝重量の僅かな増加が両性ともに見られた。腎重量は、雌のみ不定の増加を示した。5000ppm投与群の雄で、鏡検での病変として、拡張した尿細管中には蛋白質円柱を含み、尿細管拡張に伴う炎症がみられた。最高投与量群では、精巣上体の精子密度の減少と発情周期の延長が認められた。1群雌雄各5匹のB6C3F1マウスにアセトンあるいはローションビークルに溶解したオキシベンゾン0.5-8mg2週間、局所投与した。その影響は僅かであり、主として高用量群において肝及び腎重量の不定の増加が見られた。1群雌雄各10匹のB6C3F1マウスにアセトンに溶解したオキシベンゾン22.75-364mg/kgを13週間、局所投与した。雄マウスで腎重量の不定の増加が見られた。精巣上体の精子密度の減少は、3投与量群(22.5 91 200mg/kg)で見られた。2) French, 1992

ラット
1
群雌雄各5匹のF344/Nラットに2週間、1群雌雄各10匹のF344/Nラットに13週間、オキシベンゾン0312562501250025000あるいは50000ppmを摂餌投与した。2週間投与した高投与量の雌ラット1匹が死亡した。投与量依存の肝重量の増加が見られた。13週投与したラットでは、体重増加の抑制が高用量群の雌雄ともに見られた。肝重量と腎重量の増加が2週、13週投与ともに見られた。5000ppm投与群では、13週投与の末期に、精巣上体の精子密度の減少と発情周期の延長が認められた。1群雌雄各5匹のF344/Nラットにアセトンあるいはローションビークルに溶解したオキシベンゾン1.2.5-20mg2週間、局所投与した。その影響は僅かであり、主として高用量群において統計的に有意な肝及び腎重量の不定の増加が見られた。1群雌雄各10匹のF344/Nラットにアセトンに溶解したオキシベンゾン12.5-200mg/kgを13週間、局所投与した。雌ラットで腎重量の増加が見られたが、それ以外に、オキシベンゾンによる所見は何ら見られなかった。2) French, 1992

Sprague-Dawleyラットに軟膏を基剤にしてオキシベンゾン100mg/kg12回、4週間、皮膚に塗布した。体重、体重当たりの組織重量、血液及び臨床化学的検査値に影響はなかった。病理所見も対照群に比べて有意な変化はなかった。顕著な外形異常も観察されなかった。この他、一過性に血中グルタチオン濃度の変動が見られた。フェノバルビタール前処置は、オキシベンゾンの代謝を変化させ、ヒドロキシ体が増加したが、O−脱アルキル体の増加はなかった。この結果から、本条件での試験では、ラットに毒性がないことが示唆された。3) Okereke et al. 1995


遺伝毒性 (link to CCRIS)
ネズミサルモネラ菌による復帰変異原性試験で、代謝活性化系存在下で弱い変異原性を示した。チャイニーズハムスター由来細胞によるin vitro染色体異常試験で、代謝活性化系存在下で姉妹染色分体交換と染色体異常を誘発した。オキシベンゾンを13週投与したマウス骨髄細胞による小核試験で、小核の増加は見られなかった。2) French, 1992

ショウジョウバエの体軸変異と組換え(SMART)試験として、多翼毛の雌と異型接合の赤雄を交配した幼虫に、オキシベンゾン030003500ppmあるいは陽性対照としてジメチルニトロソアミン(DMN25ppm72時間暴露した。オキシベンゾン処理群は、非暴露群と比べて有意な単あるいは多翼スポットの増加は見られなかった。DMN処理した幼虫は、非暴露群と比べて有意な単あるいは多翼スポットの増加が見られた。オキシベンゾンの染色体異常誘発能の評価のためにラット骨髄細胞によるin vivo遺伝発生試験を行った。Sprague-Dawleyラットにオキシベンゾン0.00.51.67あるいは5g/kgの単回投与、あるいは5g/kg/day 11回、5日間反復単独強制経口投与した。陽性対照として、シクロフォスファミド(CP20mg/kgが同じ投与方法で投与された。コルヒチンで成長を惹起された骨髄細胞が単回投与後812時間後、反復投与では最終投与後12時間後に採取された。いずれの投与方法においても、オキシベンゾンのどの濃度でも、染色体異常の有意な増加をもたらさなかった。これら2つの試験結果から、オキシベンゾンはin vivoで遺伝子毒性を有しないことが強く支持される。4) Robinson SH et al., 1994


がん原性
該当文献なし


生殖発生毒性 (link to DART)
B6C3F1マウス各10匹に13週間(週5日投与)、オキシベンゾン01020100、あるいは400mg/kg/dayを局所投与した。91日後(あるいは中間点で)マウスを安楽死させ、精巣上体精子濃度、活動性及び異常精子の比率、精巣精細胞濃度を測定した。オキシベンゾンははどの測定ポイントでも体重増加や雄性生殖パラメータに影響がなかった。このことは、雄B6C3F1マウスに400mg/kg/dayという高投与量においても、生殖毒性がないことを示していた。5) Daston et al., 1993


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
エストロゲン様作用
6
種の紫外線(UVAUVB)除去剤のエストロゲン様作用について、in vitro及びin vivoで調査した。MCF-7乳癌細胞での試験において、オキシベンゾンを含む5つの化合物は、細胞増殖の増加のED50濃度(中央値)が1.56-3.73μMであり、1化合物は不活性であった。4日間、粉餌で化合物を与えた未熟Long-Evansラットを用いた子宮発達への影響を見た試験では、オキシベンゾン(1525mg/kg/dayで活性あり)は、僅かな子宮重量の増加が見られた。6) (Schlumpf, et al., 2001 )


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
15名の青年男性と17名の閉経後の女性からなる32名の健康志願者に3種類の日焼け止剤を2週間投与(1週目は日焼け止剤なし、2週目は日焼け止剤あり)の単盲検試験が行われ、10%wt/wt)濃度の日焼け止剤をクリーム基剤にしてオキシベンゾンを2mg/cm2を全身に毎日、局所投与した。最大血漿中濃度は、女性では200ng/mL300、男性では300ng/mLであり、尿中でも検出された。生殖ホルモンFSHLHは変動なく、テストステロンは2週間の間に僅かな変動が見られた。血清エストラジオールとインヒビン B濃度の僅かな変動が男性のみ見られた。ホルモン濃度のこれらの変動は、日焼け止剤暴露のとの関連はなかった。7) (Janjua, et al., 2004)

種々の日焼け止剤について、患者を用いてパッチテスト及び光パッチテストを行い、 オキシベンゾンでは、直接及び遅延型の過敏反応が観察された。パッチテストの陽性は、光で増強された。日焼け止剤の抗原であるオキシベンゾンは、パッチテスト及び光パッチテストの両方で接触性蕁麻疹と遅延型の過敏症をきたした。パラアミノ安息香酸(PABA)とそのエステルは増感剤として知られているが、PABAを含有していない日焼け止剤中のベンゾフェノンは、特にSPF8以上の日焼け止剤ではより顕著になる。8) (Landers M et al., 2003)


引用文献
1) Merck Index 2001; 13ed.: 7028
2) French JE.. NTP technical report on the toxicity studies of 2-Hydroxy-4-methoxy- benzophenone
CASNo.131-57-7 Administered Topically and in Dosed Feed to F334/N Rats and B6C3F1 Mice. Toxic. Rep. Ser. 1992; 21: 1-E14
3) Okereke CS, Barat SA, Abdel-Rahman, MS. Sfety evaluation of benzophenone-3 after dermal administration in rats. Toxicol. Lett.; 1995: 80(1-3): 61-7
4) Robinson SH, Odio MR, Thompson ED, Aardema MJ, Kraus AL. Assessment of the in vivo genotoxicity of 2-hydroxy-4-methoxybenzophenone. Environ. Mol. Mutagen. 1994: 23(4) : 312-7
5) Daston GP, Getting SD, Carlton BD, Chudkowski M, Davis RA, Kraus AL, Luke CF, Oellette RE, Re TA, Hoberman AM et al. Assessment of the reproductive toxic potential of dermally applied 2-hydroxy-4-methoxybenzophenone to male B6C3F1 mice. Fundam. Appl. Toxicol. 1993; 20(1): 120-4
6) Schlumpf M, Cotton B, Conscience M, Haller V, Steinmann B, Lichtensteiger W. In vitro and in vivo estrogenicity of UV screens. Environ. Health Perspect. 2001; 109(3): 239-44
7) Janjua NR, Mogensen B, Andersson AM, Petersen JH, Henriksen M, Skakkebaek NE, Wulf HC. 2004; J. Invest. Dermatol. 123(1): 57-61
8) Landers M, Law S, Storrs FJ. Contact urticaria, allergic contact dermatitis, and photoallergic contact dermatitis from oxybenzone. Am. J. Contact Dermat. 2003; 14(1): 33-4

   

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