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和名 ベンゼトニウム塩化物液 英文名 Benzethonium Chloride solution
■単回投与毒性 (link to ChemIDplus) ■反復投与毒性 (link to TOXLINE) ■遺伝毒性 (link to CCRIS) ■がん原性 (link to CCRIS) "雌雄各々60匹のF344/Nラット,及びB6C3F1マウスに0,0.15,0.5,または1.5mg/kgの塩化ベンゼトニウムを1週間に5日,103週間,局所投与した. 薬剤はエタノールに溶かして投与した,投与時の容量は群の平均体重により各週毎に調整した. その結果,0.15,0.5または1.5 mg/kgを投与されている雄性または雌性F344/Nラットにおいて,塩化ベンゼトニウムの発癌性を示す証拠は得られなかった.また,B6C3F1マウスにおいても,発癌性を示す証拠は得られなかった.1) (HSDB)" 発ガン性研究 2)
■生殖発生毒性 (link to DART) ■局所刺激性 0.1〜1.0%の濃度の水溶液は,家兎の耳において,有意に刺激性があるか,もしくは傷害性を有する.1)(HSDB) 4)(Grant, W.M.,1986) 塩化ベンゼトニウムは,ラットにおいて,悪性の程度は低いが注射部位の線維肉腫を引き起こした.1)(HSDB) 5)(Kirschstein RL,1974) ラットにおいて,塩化ベンゼトニウムを50週間隔週,3mg/kg反復皮下注射したところ,線維肉腫の発生が有意に増加した.1)(HSDB) 6)(Mason MM et al,1971) 塩化ベンゼトニウムをモルモットの鼓室に投与した結果,中耳の前庭および蝸牛の両方の部分に及ぶ損傷を引き起こした.1)(HSDB) 7)(Aursnes J,1982) 塩化ベンゼトニウムは95%のエタノールで調製した.また,これを溶液として使用した.対照薬として,1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼンの0.5%溶液を使用した.主要な刺激性の研究において,塩化ベンゼトニウムの10%濃度は有意に刺激性を有しないとされているため,20%を試験濃度として選択した.過敏性試験を実施する目的で,雌性B6C3F1マウスを8匹/群の7処置群に分け,様々な濃度で試験化合物を投与した.刺激性の反応は,試験部位に注入した125I -ウシ血清アルブミンの血管外漏出をモニターすることによって定量した.接触過敏症反応は適応した部位への125I-ヨウ化デオキシウリジン標識細胞の浸透をモニターすることにより定量した.生存率および体重に関し,処置したことに関係する影響は認められなかった.1%,3%,10%において,塩化ベンゼトニウム感作による過敏性指標は,基になる対照値と比較して有意な違いはなかった.陽性対照群は感作および1-フルオロ-2,4-ジ ニトロベンゼンの0.5%という試験的濃度で統計学的に有意な過敏性反応が発現した.これらの実験条件の下では,マウス皮膚への暴露により,塩化ベンゼトニウムに対し統計学的に有意な差がない群または濃度依存的な接触過敏性反応が観察された.1)(HSDB) ■その他の毒性 依存性 抗原性 その他 健康な2歳の銀鮭において,ハイアミン1622を10日間海水から直接移動させることによって適用した結果,高い死亡率をもたらした.4日間淡水で維持され.4時間かけて徐々に 海水に変える処理をした時, 死亡率ははるかに低くなった.1)(HSDB) 8)(Bouck GR, Johnson DA,1979) National Toxicology Program承認の標準プロトコルを用いたサルモネラ/ミクロソームpreincubation分析評価によって変異原性を試験したとき,塩化ベンゼトニウムは,陰性であると評価された.Aroclor誘発ラットまたはハムスターから得られた肝S9の存在および非存在下の両者で,塩化ベンゼトニウムを4個のSalmonella typhimurium 株(TA98,TA100,TA1535およびTA1537)において,0,0.01,0.03,0.1,0.3,1.0,3.3,10,33および100μg/plateの用量で試験した.塩化ベンゼトニウムはこれらの試験において陰性を示し,いずれのサルモネラ株においても最大無影響量は100μg/plateであった.1)(HSDB) 9)(Zeiger E et al,1987) 変異原性研究 2)
■ヒトにおける知見 (link to HSDB) 誤用 胃透視施行後の54歳及び58歳の男性にソルビトール約30mLと誤ってハイアミン原液を投与、すぐに吐き出したにもかかわらず、咽・喉頭炎、食道炎を起こした。抗生物質、副腎皮質ホルモン剤及び中心静脈栄養法を施行した。退院後9ヶ月目の内視鏡検査等では異常は認めない。11)(NAKAGAWA M, et aL) その他 "頭,眼,耳,鼻,喉 目の暴露により,緩和な不快感(0.1%溶液)から非常に重大な角膜損傷(10%溶液)に至る影響を引き起こすかもしれない.動物実験において,このような医薬品が内耳に滴下されたとき聴覚毒性が報告されている.鼓膜に接触するように耳へ希薄溶液を滴下しても刺激性がないと予測されている.内服後,中等度から高度な唇, 舌, 口および喉の腐食性の熱傷が報告されている.1) 心血管系 まれに低血圧,心停止が報告されている.1) 呼吸器系 呼吸筋麻痺,肺浮腫,職業上の喘息および無酸素症が報告されている.1) 神経系 昏睡,けいれん,ショックおよび呼吸筋麻痺に進行する中枢神経抑制作用が報告されている.1) 消化器系 嘔吐,下痢および腹痛が起こるおそれがある.高濃度溶液の内服により,口,咽頭および食道の熱傷が発現するおそれがある.出血性の消化管壊死および腹膜炎が報告されている.1) 肝臓 肝壊死および血清肝トランスアミナーゼの上昇が報告されている.1) 酸−塩基 代謝性アシドーシスが報告されている.1) 皮膚 5%の濃度で弱い皮膚刺激性がある。皮膚に適用する化粧品では0.5%濃度は安全である。 12) 毒性を現す範囲 高濃度溶液のわずか2,3mLを内服するだけで,食道または消化管の熱傷が発現する可能性がある.Quaternium28および29を30mg/kg内服後,大人における死亡例が報告されている.これは体重10kgの子供において,1%溶液約1オンスと同等である.陽イオン界活性剤を内服した際のヒトにおける致死量は,1〜3gと評価されている.1) ■引用文献 1) Hazardous Substances Data Bank (HSDBR).National Library of Medicine.(accessed ; December 2003) 2) Chemical Carcinogenesis Research Information System(CCRIS). 3) Fukuda S.Shigaku. 1987:74(6):1365-84 4) Grant, W.M. Toxicology of the Eye. 3rd ed. 5) KIRSCHSTEIN RL. DEV BIOL STAND 1974; 24; 203-12 6) MASON MM ET AL. CLIN TOXICOL 1971;4 (2); 185-204 7) AURSNES J. ACTA OTOLARYNGOL (STOCKH) 1982;93 (5-6);421-33 8) BOUCK GR, JOHNSON DA. TRANS AM FISH SOC 1979;108 (1); 63-6 9) Zeiger E et al. Environ Mutagen 1987;9; 1-110 10) Tsujihama M. Shigaku. 1989:76(7):1339-51 11) NAKAGAWA M, et aL .PRACT OTOL KYOTO 1990; 83 (1):95-9 12) Anonymous. J Am Coll Toxicol 1985:4,65-106 |メニューへ| |
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