日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 ベンゼトニウム塩化物
英文名 Benzethonium Chloride

CAS  121-54-0  (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 塩化ベンゼトニウム
収載公定書  局方(JP17)  外原基(2006)  USP/NF28/23)  EP(5) 
用途 安定(化)剤 、分散剤、防腐剤、保存剤

単回投与毒性  (link to ChemIDplus)

反復投与毒性 (link to TOXLINE)

遺伝毒性 (link to CCRIS)
変異原性研究 2) 

試験

試験系

代謝活性化  

方法

投与量結果

結果

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA100

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1535

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1537

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA98

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA100

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA100

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1535

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1535

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1537

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1537

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA98

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA98

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート
(被験物質の溶媒:蒸留水)  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA98

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA100

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1535

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1537

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA98

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA98

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA100

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA100

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1535

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1535

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1537

ハムスター肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

ネズミチフス菌 AMES(復帰変異)試験

TA1357

ラット肝S‐9,アロクロール125410%)

プレインキュベーション

0.011 UG/プレート  

陰性

培養哺乳類細胞(チャイニーズ・ハムスター肺由来のV79細胞)に対する毒性を検討した。2448時間作用により、3μg/mL濃度で細胞進展性低下、空胞形成がみられ、10μg/mL濃度で細胞質形成の不良細胞や円形化した細胞が出現し、30μg/mL濃度ではすべての細胞が痕跡を残すまで崩壊し、増殖が抑制された。また、30μg/mL濃度の224時間作用で細胞生存率は0%、DNA合成、RNA合成、蛋白質合成とも無処置群の0.20.8%まで抑制した。10) (Tsujihama & Shigaku, 1989)

培養シリアン・ハムスター胎児(SHE)細胞に対する形質転換誘導能は認められなかった。3) (Fukuda & Shigaku, 1987)


がん原性 (link to CCRIS)
"雌雄各々60匹のF344/Nラット,及びB6C3F1マウスに0,0.150.5,または1.5mg/kgの塩化ベンゼトニウムを1週間に5日,103週間,局所投与した. 薬剤はエタノールに溶かして投与した,投与時の容量は群の平均体重により各週毎に調整した. その結果,0.150.5または1.5 mg/kgを投与されている雄性または雌性F344/Nラットにおいて,塩化ベンゼトニウムの発癌性を示す証拠は得られなかった.また,B6C3F1マウスにおいても,発癌性を示す証拠は得られなかった.1)

発ガン性研究 2)  

動物種

系統/

投与経路

投与量

結果

マウス

631/

経皮

アセトン溶液として00.150.51.5r/kg体重を週5回 103週間投与(研究期間:104週間)

陰性

マウス

631/

経皮

アセトン溶液として00.150.51.5r/kg体重を週5回 103週間投与(研究期間:104週間)

陰性

ラット

344/

経皮

アセトン溶液として00.150.51.5r/kg体重を週5回 103週間投与(研究期間:104週間)

陰性

ラット

344/

経皮

アセトン溶液として00.150.51.5r/kg体重を週5回 103週間投与(研究期間:104週間)

陰性




生殖発生毒性 (link to DART)



局所刺激性
0.1
1.0%の濃度の水溶液は,家兎の耳において,有意に刺激性があるか,もしくは傷害性を有する.1)(HSDB) 4(Grant, W.M.,1986) 塩化ベンゼトニウムは,ラットにおいて,悪性の程度は低いが注射部位の線維肉腫を引き起こした.1)(HSDB) 5)(Kirschstein RL,1974) ラットにおいて,塩化ベンゼトニウムを50週間隔週,3mg/kg反復皮下注射したところ,線維肉腫の発生が有意に増加した.1)(HSDB) 6)(Mason MM et al,1971) 塩化ベンゼトニウムをモルモットの鼓室に投与した結果,中耳の前庭および蝸牛の両方の部分に及ぶ損傷を引き起こした.1)(HSDB) 7)(Aursnes J1982) 塩化ベンゼトニウムは95%のエタノールで調製した.また,これを溶液として使用した.対照薬として,1-フルオロ-2,4-ジニトロベンゼンの0.5%溶液を使用した.主要な刺激性の研究において,塩化ベンゼトニウムの10%濃度は有意に刺激性を有しないとされているため,20%を試験濃度として選択した.過敏性試験を実施する目的で,雌性B6C3F1マウスを8匹/群の7処置群に分け,様々な濃度で試験化合物を投与した.刺激性の反応は,試験部位に注入した125I -ウシ血清アルブミンの血管外漏出をモニターすることによって定量した.接触過敏症反応は適応した部位への125I-ヨウ化デオキシウリジン標識細胞の浸透をモニターすることにより定量した.生存率および体重に関し,処置したことに関係する影響は認められなかった.1%,3%,10%において,塩化ベンゼトニウム感作による過敏性指標は,基になる対照値と比較して有意な違いはなかった.陽性対照群は感作および1-フルオロ-2,4-ジ ニトロベンゼンの0.5%という試験的濃度で統計学的に有意な過敏性反応が発現した.これらの実験条件の下では,マウス皮膚への暴露により,塩化ベンゼトニウムに対し統計学的に有意な差がない群または濃度依存的な接触過敏性反応が観察された.1)


その他の毒性
依存性
抗原性
その他
健康な2歳の銀鮭において,ハイアミン162210日間海水から直接移動させることによって適用した結果,高い死亡率をもたらした.4日間淡水で維持され.4時間かけて徐々に 海水に変える処理をした時, 死亡率ははるかに低くなった.1)(HSDB) 8)(Bouck GR, Johnson DA1979)

National Toxicology Program
承認の標準プロトコルを用いたサルモネラ/ミクロソームpreincubation分析評価によって変異原性を試験したとき,塩化ベンゼトニウムは,陰性であると評価された.Aroclor誘発ラットまたはハムスターから得られた肝S9の存在および非存在下の両者で,塩化ベンゼトニウムを4個のSalmonella typhimurium (TA98TA100TA1535およびTA1537)において,00.010.030.10.31.03.31033および100μg/plateの用量で試験した.塩化ベンゼトニウムはこれらの試験において陰性を示し,いずれのサルモネラ株においても最大無影響量は100μg/plateであった.1)(HSDB) 9)(Zeiger E et al,1987)

ヒトにおける知見 (link to HSDB)
誤用
胃透視施行後の54歳及び58歳の男性にソルビトール約30mLと誤ってハイアミン原液を投与、すぐに吐き出したにもかかわらず、咽・喉頭炎、食道炎を起こした。抗生物質、副腎皮質ホルモン剤及び中心静脈栄養法を施行した。退院後9ヶ月目の内視鏡検査等では異常は認めない。11)(NAKAGAWA M, et aL)

その他
頭,眼,耳,鼻,喉 目の暴露により,緩和な不快感(0.1%溶液)から非常に重大な角膜損傷(10%溶液)に至る影響を引き起こすかもしれない.動物実験において,このような医薬品が内耳に滴下されたとき聴覚毒性が報告されている.鼓膜に接触するように耳へ希薄溶液を滴下しても刺激性がないと予測されている.内服後,中等度から高度な唇, 舌, 口および喉の腐食性の熱傷が報告されている.1)

心血管系
まれに低血圧,心停止が報告されている.1)

呼吸器系
呼吸筋麻痺,肺浮腫,職業上の喘息および無酸素症が報告されている.1)

神経系
昏睡,けいれん,ショックおよび呼吸筋麻痺に進行する中枢神経抑制作用が報告されている.1)

消化器系
嘔吐,下痢および腹痛が起こるおそれがある.高濃度溶液の内服により,口,咽頭および食道の熱傷が発現するおそれがある.出血性の消化管壊死および腹膜炎が報告されている.1)

肝臓
肝壊死および血清肝トランスアミナーゼの上昇が報告されている.1)

酸−塩基
代謝性アシドーシスが報告されている.1)

皮膚
5
%の濃度で弱い皮膚刺激性がある。皮膚に適用する化粧品では0.5%濃度は安全である。 12)

毒性を現す範囲
高濃度溶液のわずか2,3mLを内服するだけで,食道または消化管の熱傷が発現する可能性がある.Quaternium28および2930mg/kg内服後,大人における死亡例が報告されている.これは体重10kgの子供において,1%溶液約1オンスと同等である.陽イオン界活性剤を内服した際のヒトにおける致死量は,1〜3gと評価されている.1)


引用文献
1) Hazardous Substances Data Bank (HSDBR).National Library of Medicine.(accessed ; December 2003)
2) Chemical Carcinogenesis Research Information System(
CCRIS).
3) Fukuda S.Shigaku. 1987:74(6):1365-84
4) Grant, W.M. Toxicology of the Eye. 3rd ed. Springfield, IL: Charles C. Thomas Publisher, 1986. 870-3
5) KIRSCHSTEIN RL. DEV BIOL STAND 1974; 24; 203-12
6) MASON MM ET AL. CLIN TOXICOL 1971;4 (2); 185-204
7) AURSNES J. ACTA OTOLARYNGOL (STOCKH) 1982;93 (5-6);421-33
8) BOUCK GR, JOHNSON DA. TRANS AM FISH SOC 1979;108 (1); 63-6
9) Zeiger E et al. Environ Mutagen 1987;9; 1-110
10) Tsujihama M. Shigaku. 1989:76(7):1339-51
11) NAKAGAWA M, et aL .PRACT OTOL KYOTO 1990; 83 (1):95-9
12) Anonymous. J Am Coll Toxicol 1985:4,65-106

   

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