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和名 塩化アルミニウム(III)水和物 英文名 Aluminium Chloride CAS 7784-13-6 (link to ChemIDplus) 別名 塩化アルミニウム 収載公定書 薬添規(JPE2018)、 外原規(2006)、USP/NF(28/23) 、 EP(5) 用途 増強剤 ■JECFAの評価 アルミニウムの暫定週間耐容摂取量は7.0mg/kgである。 以下の項目については、酢酸亜鉛、酸化亜鉛及び硫酸亜鉛の項も参照されたい。なお、WHOの第26回会議の記録には、その他の亜鉛塩(医薬品添加物には指定されていない)についての記載もあるので併せて参照されたい。 ■単回投与毒性 (link to ChemIDplus)
■反復投与毒性 (linke to TOXLINE) ラット ラット20匹に塩化アルミニウムを毎日3カ月間腹腔内投与した。骨中にアルミニウムが蓄積した(163±9ppm骨灰中)。それらは透析患者中に観察される量に匹敵し、約8週で骨軟化症に進んだ。投与終了後、軟骨内骨化は正常に復したが、増加した骨アルミニウムと骨軟化症は、49日間持続した。4) (Ellis et al.,1979) アルミニウム経口投与後の血液形態学的パラメータの経時的・用量依存的変化を評価することを目的に研究を行った。雌性Wistarラットに塩化アルミニウム(100mgAl /kg)を21日間投与した。形態学的評価項目は赤血球(RBC)、ヘモグロビン(HGB)、ヘマトクリット(HCT)、血清鉄濃度(Fe)、MCH、MCHC、絶対補正網状赤血球数、白血球数、血小板数であり、3、7、14、21日目に評価した。その結果、投与1週後にラット血中のRBC、HCT、HGB、Feが減少した。血小板数の増加が他のパラメーターの変化に先駆けて起こった。ラットへのアルミニウム経口投与は正球性貧血を引起すことが明らかになった。6) (Chmielnicka et al.,1994) 4週齢の正常Wistar Kyotoラットを無作為にアルミニウム投与群と対照群に分割した。投与群は16週間毎日、1日量として4%塩化アルミニウム0.3mlを腹腔内投与した。網膜は塩化アルミニウム投与開始8、12、16週後に透過型電子顕微鏡(TEM)とエネルギー分散型X線分析器(EDXA)で観察した。アルミニウム投与群では血清アルミニウム濃度が統計的に有意に増加した(P<0.001)。また注射開始16週後に網膜の顕著な病理学的変化:網膜色素上皮層の非薄化、視細胞の外節膜、内節膜及び核の消失、外網状層・内網状層、外顆粒層・内顆粒層の高密度の不規則顆粒、網膜色素上皮層と内顆粒層の間に残った細胞の高密度顆粒を認めた。EDXAでは高密度不規則顆粒中にアルミニウムを認めた。腹腔内投与されたアルミニウムはラット網膜に集まり視細胞を破壊し網膜に有害であることが明らかになった。8) (Lu et al.,2002) ■遺伝毒性 (link to CCRIS) ■がん原性 該当文献なし ■生殖発生毒性 (link to DART) マウスに塩化アルミニウム平均19.3mgAl/kg/dayを飲水として与え、3世代観察した。第1世代仔では、生殖発生への有害作用あるいは肝臓、脾臓、腎臓への組織病理学的変化を示さなかった。血液学的にも変化は示されなかった。しかし、アルミニウム用量を2倍にすると第2、3世代仔では成長が遅れた。1) (Ondreicka et al.,1966) BALB/C雌マウス40匹に妊娠7-16日の間塩化アルミニウムを与え、母体、胎仔に対する毒性、組織蓄積を検討した。用量は腹腔内投与で200mgAlCl3/kg/day、経口投与で最高300mg/kg/dayであった。腹腔内投与では200mgAlCl3/kg/dayで母動物が全例妊娠10日目に死亡、150mgAlCl3/kg/dayで肝臓アルミニウム含量が有意に上昇した。胎盤、胎仔中アルミニウム含量も有意に上昇したが用量反応性は明確でなかった。経口投与では母体肝臓中のアルミニウム含量、胎仔あるいは胎盤重量に影響を与えなかった。胎盤、胎仔中のアルミニウム含量はわずかに上昇したが、用量反応性は示さなかった。アルミニウム投与群の母体では用量に依存して胎仔吸収が増加し産仔数が低下した。1) (Cramer et al.,1986) 妊娠ラットへ塩化アルミニウムあるいは乳酸アルミニウムを妊娠第1日から第21日まで種々の用量で経口投与した。胎仔の致死率、体重増加、運動神経の成熟への影響を検討した。胎仔数に対する影響は認められなかったが、第1週に致死率が増大し、その作用は乳酸アルミニウムより塩化アルミニウムが強かった。体重増加は一時的に遅延し回復したが、回復は胎仔数の減少に帰せられた。生存胎仔トの運動神経の成熟の検討では、生後2週間重大な障害を示した。2) (Bernuzzi et al.,1989) 雌ラットに分娩後12日間塩化アルミニウム(10mgAl/kg/day)を腹腔内投与した。摂食量減少とそれに伴う体重減少が観察された。出生後7日目より、薬物投与された雌親の仔らは成長遅延を示した。対照に比較して、投与1日目に雌親の母乳中にかなり高レベルのアルミニウムが認められた。更に血漿、肝臓、脾臓、腎臓のアルミニウムレベルも対照に比較して有意に高値を示した。他方、投与群、非投与群の雌親の仔らの同一組織ではアルミニウムレベルに相違はなかったアルミニウム投与による血漿珪素レベルの変化は母仔共に認められなかった。5) (Muller et al.,1992) 若齢ラットに胃内挿管法により、塩化アルミニウム(100mgAl/kg/day)と乳酸アルミニウム(100と200mgAl/kg/day)を生後5〜14日に投与した。この処置により体重が減少し、α1グロブリンは増加したが、全タンパク及びアルブミンの血漿中濃度が減少した。平均体重の減少は摂食量低下、一時的栄養不足、肝臓の蛋白合成低下など種々の理由に帰せられる。α1グロブリンの増加は炎症の進展を示す。7) (Cherroret et al.,1995) ■局所刺激性 該当文献なし ■その他の毒性 マウス マウスを用い、rota-rod treadmill上での熟練運動機能に対する塩化アルミニウムの影響を検討した。その結果、塩化アルミニウムはその投与期間に応じてマウスの運動協調性を障害した。9) (Sahin et al.,1995) ウサギ ウサギに塩化アルミニウム、塩酸(対照群)の脳室内注射を行なった。また、無処置群も用意した。手術後6日目より4日間、条件刺激(音調)と無条件刺激(空気吹音)への瞬膜反射の古典的条件付け(1日100回)を行なった。無処置群、塩酸群では容易に条件付け応答を獲得した。一方、アルミニウム投与群では4日経っても条件付け応答を得られなかった。アルミニウム投与群での条件付けの破壊は、感覚あるいは運動過程の欠落、病気に帰せられなかった。神経病理学的分析により、広範囲の神経原繊維濃縮体の生成によることが示された。さらに神経原繊維変質の程度は条件付けの程度と有意な負の相関を示した。3) (Pendlebury et al.,1988) ■ヒトにおける知見 ヨウ素デンプン法で片側分節性皮膚多汗症と診断された若齢女性(原因不明)にアルコール性20%塩化アルミニウム6水和物溶液(Drysol)をプラスチック製ラップを使用し適用した。反応は良好であったが、繰り返しの使用で汗疹(あせも)を生じた。10) (Dworin et al.,1978) アルミニウムに対する過敏性反応はかなり遅発性でアルミニウム含有制汗剤の連続使用や減感作療法・ワクチンのアルミニウムアジュバントによって起ることが報告されている。免疫療法を受けて、持続そう痒性皮下結節を生じた5人の患者を診るとその結節は、組織学的にはアルミニウムに対する遅延型過敏症と同様肉芽腫反応を呈していた。2%塩化アルミニウム水溶液でのパッチテストでは3人が陽性で、他の金属(ニッケル、コバルト)の陽性結果とよく相関していた。11) (Garcia-Patos et al.,1990) 1985年1月1日から1990年12月31日にDi-Te-Polワクチンで免疫された領域にかゆみ、皮下浸潤を起こした子供らがフィンチャンバーあるいは2%塩化アルミニウム水溶液でパッチテストを受けた。Di-Te-Polワクチンは水酸化アルミニウムを含む。アルミニウム接触アレルギーを起こしたのは32人(女20、男12)であった。3つのパッチテスト法の中最も高感度を示したのはフィンチャンバーで被覆された2%塩化アルミニウム水溶液での試験であった。したがって、アルミニウムアレルギーのある子供らはアルミニウムを含有しないワクチンで免疫接種すべきである。12) (Hudklinikken et al.,1992) 通常のパッチテストでアルミニウムフィンチャンバーに反応した10歳男子は、更に塩化アルミニウム水溶液でのパッチテストで、アルミニウムに対する接触アレルギーと診断された。8歳の弟もアルミニウムフィンチャンバーに反応し、兄弟共に幼時より顔と四肢の落屑性皮疹を患っていた。13) (Dwyer et al.,1993) ■引用文献 1) WHO Food Additive Series No.24 Aluminium. (accessed; Sep. 2004) (link to WHO DB) 2) Bernuzzi V, Desor D, Lehr PR. Developmental alternations in offspring of female rats orally intoxicated by aluminum chloride or lactate during gestation. Teratology. 1989; 40: 21-7 3) Pendlebury WW, Perl DP, Schwentker A, Pingree TM, Solomon PR. Aluminum-induced neurofibrillary degeneration disrupts acquisition of the rabbit's classically conditioned nictitating membrane response. Behav.Neurosci. 1988; 102:615-20 4) Ellis HA, McCarthy JA, Herrington J. Bone aluminium in haemodialysed patients and in rats injected with aluminium chloride. J.Clin.Pathol. 1979; 32: 832-44 5) Muller G, Hutin MF, Burnel D, Lehr PR. Aluminum transfer through milk in female rats intoxicated by aluminum chloride. Biol.Trace Elem.Res. 1992; 34: 79-87 6) Chmielnicka J, Nasiadek M, Pinkowski R, Paradowski M. Disturbances of morphological parameters in blood of rats orally exposed to aluminum chloride. Biol.Trace Elem.Res. 1994; 42: 191-9 7) Cherroret G, Capolaghi B, Hutin MF, Burnel D, Desor D, Lehr PR. Effects of postnatal aluminum exposure on biological parameters in the rat plasma. Toxicol.Lett. 1995; 78: 119-25 8) Lu ZY, Gong H, Amemiya T. Aluminum chloride induces retinal changes in the rat. Toxicol.Sci. 2002; 66: 253-60 9) Sahin G, Taskin T, Benli K, Duru S. Impairment of motor coordination in mice after ingestion of aluminum chloride. Biol.Trace Elem.Res. 1995; 50:79-85 10) Dworin A, Sober AJ. Unilateral segmental hyperhidrosis. Response to 20% aluminum chloride solution and plastic wrap. Arch.Dermatol. 1978; 114: 770-1 11) Garcia-Patos V, Alomar A, Lleonart R, Cistero A, Matias-Guiu X. Subcutaneous nodules and sensitivity to aluminum in patients undergoing hyposensitivity immunotherapy. Med.Cutan.Ibero.Lat.Am. 1990; 18: 83-8 12) Nielsen AO, Kaaber K, Veien NK. Aluminum allergy caused by DTP vaccine. Ugeskr.Laeger. 1992; 154: 1900-1 13) Dwyer CM, Kerr RE. Contact allergy to aluminium in 2 brothers. Contact Dermatitis. 1993; 29: 36-8 ■Abbreviation ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature |メニューへ| |
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