日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 アスコルビン酸
英文名 Ascorbic Acid

CAS 50-81-7  (link to ChemIDplus),  (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 L-アスコルビン酸、ビタミンC(110316)
収載公定書 局方(JP17),食添(JSFA-IX) ,USP/NF(27/22) EP(4)
用途 安定(化)剤,緩衝剤,抗酸化剤,矯味剤

GRAS(182.3013, 182.8013 ) (link to  GRAS/SCOGS)

JECFAの評価 (link to JECFA)
ADIは「特定しない」と評価されている。1) (1981年)



単回投与毒性  (link to ChemIDplus)

動物種

投与経路

LD50

文献

マウス

経口

5000mg/kg

Demole, 19342)

マウス

静脈内

1000mg/kg

Demole, 19342)

ラット

経口

1000mg/kg

Demole, 19342)

ラット

静脈内

1000mg/kg

Demole, 19342)

モルモット

経口

5000mg/kg

Demole, 19342)

モルモット

静脈内

500mg/kg

Demole, 19342)




反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
マウスにアスコルビン酸500-1000mg/kgを7日間経口、皮下又は静脈内投与した。一般行動及び病理組織学的検査に異常は認められなかった。1) (Demole, 1934)

ラット
1群6匹のラットにアスコルビン酸塩0、1、5 又は10%含有食を与えた。用量に依存した体重増加抑制、 5% 群では死亡2匹及び軟便が認められた。1) (De Albequerque & Henriques, 1970)

モルモット
モルモットにアスコルビン酸400-2500mg/kgを6日間経口、皮下又は静脈内投与した。一般行動及び病理組織学的検査に異常は認められなかった。1) (Demole, 1934)



遺伝毒性  (link to CCRISGENETOX)
in vitro
S. typhimuriumのTA98他4株、S. cervisiaeのD4株を用いた復帰変異原試験において、代謝活性化系の有無にかかわらず、アスコルビン酸及びアスコルビン酸カルシウムは変異原性を示さなかった。1) (Litton Bionetics, 1975 & 1976)

マウスのリンパ腫L5178Y TK+/-細胞を用いて、ミリモル濃度のアスコルビン酸及びアスコルビン酸ナトリウムの変異原性を検討した。毒性用量レベルにおいても遺伝子突然変異は見られなかった。アスコルビン酸による毒性は、細胞非存在下にアスコルビン酸と培地中の成分が化学反応して形成される物質によるものと思われる。3) (Amacher & Paillet, 1981)

S. typhimuriumのTA100株を用いた復帰突然変異試験において、脱イオン水で調製した培地を用いた試験系ではアスコルビン酸は変異原性を示さなかった。4) (Norkus et al, 1983)

in vivo
組織飽和量以上のビタミンC含有食を与えたモルモットを用いたin vivo宿主経由復帰変異原試験において、変異原性は認められなかった。4) (Norkus et al., 1983)



がん原性  (link to CCRIS)
ラット
1群雌雄各26匹のラットに、Lアスコルビン酸0、 1000、 1500又は2000mg/kg含有食を2年間与えた。血液、尿、血液生化学検査、肉眼的及び病理組織学的検査において被験物質投与に起因する変化は認められず、腫瘍発生率は対照群との間に差はなかった。1) (Surber & Cerioli, 1971)



生殖発生毒性  (link to DART)
in vitro
アフリカツメガエルの胞胚にアスコルビン酸、セレンナトリウム、クマリン、セロトニン及び13-cis-レチノイン酸を96時間曝露し、催奇形性を検討した。アスコルビン酸には催奇形性殆ど見られなかった。セレンナトリムとクマリには中等度の、セロトニンはそれらよりやや強い、13-cis-レチノイン酸では強い催奇形性が認められた。5)(DeYoung et al., 1991)

マウス
1群20-23匹のCD1マウスに妊娠6日から15日までアスコルビン酸5.2-520mg/kgを経口投与した。母獣及び胎児の生存率に対照群との間に差はなかった。胎児の外観及び骨格検査において奇形発生率の上昇は認められなかった。1) (Food & Drug Research Laboratories, 1974)

ラット
1群20-22匹のWistar系ラットに妊娠6日から15日までアスコルビン酸5.5-555mg/kgを経口投与した。母獣及び胎児の生存率に対照群との間に差はなかった。頭蓋縫合癒合不全の発生率が555mg/kg群に高かったが、胎児の外観及び骨格検査において奇形発生率の上昇は認められなかった。1) (Food & Drug Research Laboratories, 1974)



局所刺激性
該当文献なし



その他の毒性
依存性
極めて大量のアスコルビン酸を長期投与したモルモット及びヒトに依存状態が報告されているが(Rhead & Schrauzer, 1971; Sorensen et al., 1974)、GRAS物質として評価されている。1)(SCOGS, 1979)



ヒトにおける知見 (link to HSDB)
乳幼児29名、幼稚園児及び学童93名、成人20名にアスコルビン酸を6000mgまで漸増し、1400日間以上投与した。高用量群において、成人では5名に嘔気、嘔吐、下痢、顔面潮紅、頭痛、倦怠感、睡眠障害が、乳幼児では4名に発疹が認められた。1)(Widenbauer, 1936)

30名の小児(活動期リウマチ群10名、回復期リウマチ群10名、対照群10名)にアスコルビン酸5mgを3日間投与した報告に著しい尿量増加が見られているが(Abbasy, 1937)、心不全患者9名にアスコルビン酸300mgを投与した試験において利尿作用が報告されている。1) (Evans, 1938)

女性1名、男性3名にアスコルビン酸1000mgを3ヶ月間投与した。血清中、白血球中及び尿中のアスコルビン酸濃度に変化は認められなかった。有害作用も見られなかった。1) (Lowry et al., 1952)

アスコルビン酸塩を風邪治療用に使用した女性に、アスコルビン酸とワルファリンとの相互作用が認められた。1) (Rosenthal, 1971)

若い健常成人男性にアスコルビン酸塩4gをサプリメントとして投与した。投与前の蓚酸の尿中排泄量は58mgであったが、投与後には622mgに上昇した。1) (Briggs, 1973)

アスコルビン酸250mgの3ヶ月間投与の二重盲検試験において、有害作用発生率はプラセボ群と同等であったが(Anderson et al. 1972)、311名の健常者を用いた大量(0-6g)かつ長期(9ヶ月間)の二重盲検試験では有害作用は認められなかった。血液生化学検査にも異常は認められなかった。1) (Lewis et al., 1975)

高用量のアスコルビン酸塩による食物中のビタミンB12破壊に関して相反する報告があるが(Newmark et al., 1976; Herbert & Jacob, 1974)、500mg以上のアスコルビン酸塩を服用した成人の2-3%にビタミンB12欠乏が発生している。1) (Hines, 1975)

14名の健常成人にアスコルビン酸を3-5日間投与した。過酸化水素による溶血性試験の感受性が上昇した。1) (Mengel & Green, 1976)

男性5名にアスコルビン酸200mgを15日間投与し、さらに2gを15日間投与した。白血球の殺菌作用が著しく低下したが、投与中止により作用は回復した。1) (Shilotri & Seetharam, 1977)

44組の学童期双生児の一方に体重に応じて500、750又は1000mgのビタミンCを、他方にプラセボを5ヶ月間投与した。血圧、身長、体重、血液および血液生化学検査において群間に著しい差はなかった。1) (Miller et al., 1977)


この項は食品・医薬品共用添加物の安全性研究の費用による研究である


参考文献
OECD database (link to SIDS
)


1) WHO Food Additive Series No.16 Calcium ascorbate. 1981 (accessed ; Oct. 2004: link to WHO DB)
2) WHO Food Additive Series No.5 Ascorbic acid and its potassium and sodium salts. 1974 (accessed ; May. 2003: link to WHO DB)
3) Cancer Lett. 1981 Nov; 14: 151-8
  (link to PubMed)
4) Mutat Res. 1983 Apr;117(1-2):183-91 (link to PubMed)
5)
Drug Chem Toxicol. 1991; 14: 127-41 (link to PubMed)

Abbreviation   
TOXNET DB; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature   

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