日本医薬品添加剤協会
Safety Data
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和名 安息香酸
英文名 Benzoic Acid

CAS 65-85-0  (link to ChemIDplus), (link to JAN DB), (link to JANe DB)
別名 
収載公定書  局方(JP17), 食添(JSFA-IX)  USP/NF(28/23)  EP(5)  
用途 安定(化)剤、緩衝剤、防腐剤、保存剤

JECFAの評価 (link to JECFA)
ラットにおける無毒性量は混餌投与で1%(10000ppm)であり、これは 500mg/kg bwに相当する。ヒトの一日摂取許容量(ADI)は0-5mg/kgbwである。
【安息香酸及びそのナトリウム、カリウム、カルシウム塩の合計として表す】 安息香酸ナトリウムも参照のこと


単回投与毒性  (link to ChemIDplus)

動物種

投与経路

LD50(mg/kg体重)

文献

ラット

経口(Na塩)

2,700mg/kg

Deuel et al., 1954 1)

ラット

静脈(Na塩)

1.714mg/kg±124

Spector, 1956 1)

ウサギ

経口(Na塩)

2,000mg/kg

Spector, 1956 1)

ウサギ

皮下(Na塩)

2,000mg/kg

Spector, 1956 1)

イヌ

経口(Na塩)

2,000mg/kg

Spector, 1956 1)

ラット

経口(フリー)

2.000-2.500mg/kg

Ignatev, 1965 1)

2.39%の安息香酸を含む餌を摂取した28匹のネコは、神経過敏、興奮,平衡および視覚喪失などの中毒症状を呈した。痙攣を生じ、17匹が死亡もしくはト殺された。剖検で腸管粘膜と肝臓に障害が認められた。ネコの感受性はグルクロナイド生成不全の所為であり、毒性は単回投与では0.45g/kg、反復投与では0.2g/kgを超える用量で発現する。1) (Bedford & Clark, 1971)


反復投与毒性 (link to TOXLINE)
マウス
1群雌雄各25匹のマウスに安息香酸40mg/kg/日、亜硫酸ナトリウム80mg/kg/日及び同量の両者混合物を17ヶ月間与えた。個別群の死亡率が8ヶ月の時点で32%であったが、混合物群では62%に上昇した。17ヶ月での死亡率は提示されず、病理所見も報告されていない。1)Shtenberg & Ignatev, 1970)

1群雌雄50匹のマウスに、80mg/kg/dayの安息香酸、160mg/kg/dayの安息香酸ナトリウム及びその両者(用量は同じ)を胃ゾンデにより経口投与した。両者投与群では体重減少が観察され、死亡率は最も高かった2.5ヶ月目に5日間食事制限を行うと双方の群で死亡率は85%になった。1) (Shtenberg & Ignatev, 1970)

ラット
1群各20匹のラットに、0、0.5及び1%の安息香酸を含む餌を8週間pair feedingで給餌し、その後4世代にわたって自由摂取させた。2世代は全生涯にわたって給餌し、第3及び第4世代は16週後に剖検した。成長、繁殖率、授乳及び寿命に影響は見られなかった。剖検所見にも異常は見られなかった。1)Kieckebusch & Lang, 1960)

1群各20匹のラットに、1.5%の安息香酸を含む餌を18ヶ月間給餌した。対照群には雄13匹、雌12匹を用いた。実験群では15匹が死亡したが、対照群では3匹であった。実験群では摂餌量及び体重の減少がみられた。他の系統のラットで実験群20匹、対照群10匹で再実験を行ったが同様の結果であった。1) (Marquardt, 1960)

1群雌雄各10匹のラットに安息香酸40mg/kg/日、亜硫酸ナトリウム80mg/kg/日及び同じ量の両者の混合物を餌に混じて18ヶ月間与えた。成長は軽度抑制され、赤血球沈降速度は上昇した。安息香酸を投与したラットは試験の最終に致死量を投与したが、耐えた。病理所見は報告されていない。1)Shtenberg & Ignatev, 1970)

モルモット
1群4匹のモルモットに、150mg/kgの安息香酸塩+安息香酸を毎日65日まで与えた結果、有害作用は認められなかった。同用量を壊血病の動物に給餌した場合には、寿命の短縮が認められた。1) (Kluge, 1913)

イヌ
17頭のイヌに安息香酸ナトリウム又は安息香酸を1000mg/kgの割合で250日以上の給餌試験を行ったが、成長、食欲、健康に影響はなかった。これ以上の用量では運動失調、癲癇性痙攣を来たし、死亡が見られた。1) (Rose et al., 1913)


遺伝毒性 (link to CCRIS) ,  (link to GENE-TOX)


がん原性

生殖発生毒性  (link to DART)
マウス
前述反復投与毒性に記述した17ヶ月間試験に供したマウスの一部を交配し、5世代に亘る繁殖試験を行った。結果の中には、体重だけが記載されている。1)Shtenberg & Ignatev, 1970)


局所刺激性
該当文献なし


その他の毒性
該当文献なし


ヒトにおける知見 (link to HSDB)
食事中に0.3-0.4gの安息香酸を62日間に亘って与えた6名では、血液像、尿組成、窒素バランス及び健康状態に異常は見られなかった。1) (Chiienden et al., 1909)

ペニシリンで治療中の名の患者9名に毎日1200mgの安息香酸を8回に分けて、8名は5日間、1名は14日間与えたが、何ら影響は見られなかった。内因性ノクレアチニンのクリアランスにも、通常の尿分析にも異常は見られなかった。1) (Waldo et al., 1949)

この項は食品・医薬品共用添加物の安全性研究の費用による研究である


参考文献
OECD database (link to SIDS
)


1) WHO Food Additives Series 18, 1983 BENZOIC ACID AND ITS CALCIUM, POTASSIUM AND SODIUM SALTS; link to WHO DB)
1) WHO Food Additives Series 26, 2000 BENZOIC ACID AND SODIUM BENZOATE; link to WHO DB)

Abbreviation   
ChemIDplus; ChemIDplus DB in TOXNET, CCRIS;Chemical Carcinogenesis Research Information System , DART; Developmental Toxicology Literature


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